気づけばトリコ【檜山光成】 (ページ13)

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Aside

家に帰っても誰も居なくて。それが当たり前になっていて

今更寂しいだなんて思わないけど

もし家に帰った時に迎えてくれる父や兄が未だ居れば

私は真っ当な人生を歩めていたのだろうか。

母の帰りを待つようにして台所へ向かい夕食の準備を始めた

やがて母が帰ってきてかなり疲れた様子

私が母が好きなことに変わりは無いから労い夕食の準備を終えた

2人してテーブルについて手を合わせ食事を始めた

私は食事の時間に他愛もない話をするのが大好きだ

母「A、学校どうだった?」

『特に何も無かったよ!いつも通り順調にやれそう』

母「何度も転校させてごめんね、
ただもうこれが最後で済みそうなの」

何度も言われた言葉。この言葉に裏切られたからって母を嫌いになんてならなかった。

いつもはクラスに思い出も未練も無かったからむしろ気が楽だった。

でも今回は何かが違って。

“これが最後で済む”という言葉を聞いた時、少し喜んでいる自分がいた気がした

でも別に仲良くなったわけでも一目惚れしてしまった訳でも…無いんじゃないか

母「Aはほんとに良く顔が変わるね、かわいい」

褒めているのか貶しているのか分からないギリギリだけどきっと褒めてくれているはず、笑

母「Aが学校の話して嬉しそうな顔するの久しぶりに見れてママ嬉しいな」

『これから、もしかしたら楽しくなれるかも』

確証はないから“もしかしたら”ね