24。 ページ25
「ほぇ…広い」
と、雅斗くんの発した言葉が白い壁に反射して空気に溶け、私達の座るソファに戻ってくる。
「翔聖は生徒会の権力強いからかな、生徒会室が無駄に広いんだよ」
「じゃあ生徒会長の矢吹生徒会長はめちゃめちゃ強いんですね!」
「堅苦しいからもっと柔らかく呼んでもらって構わないよ」
「じゃあ…やっさんで!」
「うわあ八百屋さんみたい」
いやちょっとちょっと。
なに仲良くしてるんですかお二方。
漣さん漣さん。私達の知らないところで仲の良いお友達ができてしまっているようですよ。
「漣くんって呼んで良い?」
「あ、是非」
「俺のこともやっさんでいいよー!」
「八百屋さんはちょっと…」
「おい漣どういうこっちゃ」
…え。
あわててメロンパンを飲み込む。
漣が矢吹生徒会長と仲良さげに話している気がするのは気のせいでしょうか。
「東雲さんも自己紹介してよ」
「え、あ、え…」
うーんコミュ障大発揮。
あれ、自己紹介ってどうやってやるんだっけ助けて。
名前言うんだよね、原始的に行こう。
「東雲 涼です…え…っと」
「漣くん雅斗くん、この子って」
「…めっちゃコミュ障です」
「なるほど…できる楽器、ある?」
「…ベース、なら…経験があります」
「涼はやらせれば何でもできますよ。ギターもキーボードもできます」
「え、超素質あるっ子じゃん…ベースやってたってことは、中学で何かしらのバンド組んでたの?」
「まあ、お遊び程度ですけど組んではいました」
「3人で?」
「4人です」
ひゅっ、と喉が鳴る。
誰の音だ、誰がこんな恐怖を掻き立てるような音を出したのだ。
___私?
なんだろう、気持ち悪くなってきた。
息ができない。…ううん、違う。息ができ過ぎる、苦しい。二酸化炭素、二酸化炭素がほしい。必要以上に肺に空気が入ってきて出しきれないのだ。
苦しい、苦しい、苦しい。
手足が、痺れているような気がする。上手く動かせない。なんで。動いてよ、ねえ、動いてよ。
ああ、だめだ、まずい。
…保健室、行こう。
痺れる手足を無理やり動かして、ソファから立ち上がる。
立てた、動かせた。
大丈夫、これなら保健室までは歩ける。
逆流しそうなものを抑えるために少し上を向いて、口元を抑えつつ生徒会室の白い扉に手をかける。
…あれ、なんで。
手が、足が、動かない。動きはするのに、思い通りに動いてくれない。
ああ、息が、肺が、苦しい、視界が狭まっていく、暗くなっていく。
…ああ。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Noel*26(プロフ) - いちごさん» なお許可は取っていない模様() (2020年4月1日 15時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - ド派手に身バレしとって草 と言うか身バレしてるという方が見バレな気もするw (2020年4月1日 11時) (レス) id: b234dff780 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - いちごさん» 39話で身バレ案件するから覚悟して欲しい()今の涼ちゃんのほうが書きやすいんだよね笑みんな真面目ちゃんだと面白くないし(正当化) (2020年3月28日 2時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 涼ちゃんなんだかキャラずれてきてない?wwまあこれも好きだし良いけどさwあとね身バレせんでね皆危機になるからねwww (2020年3月28日 0時) (レス) id: 9a5403874f (このIDを非表示/違反報告)
Sari(プロフ) - Noel*26さん» バグが起きるとは思わなくてコメント遅くなってごめんよ、、(でしょ?自分でも気に入ってるw) (2020年1月31日 19時) (レス) id: 656a175c77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ