プロローグ ページ1
今日も、音楽室。
そっと、白鍵に指を載せて。小さな声で、歌も載せて。
私の声に合わせて、彼のスネアドラムが鳴る。
グランドピアノだけじゃ、物足りない。
心地の良い四拍子。
それと同時に、下から優しく支えてくれる歌声。遠く離れた音域であるにも関わらず違和感を感じない。
優しく響く、バスパート。
防音になっている音楽室の二重のドアが静かに開く。彼がやってくる。
首にかかったチェーン付きのピックを外しながら、そこらに立てかけてあるアコースティックギターを手に取り、弦を鳴らす。
グランドピアノとドラムだけじゃ、華がない。
柔らかな和音。
それと同時に、ソプラノとバスの間に割り込んできてくれる深い歌声。私にこの曲を大好きにさせた張本人である彼は、しっかり歌詞を覚えている。
深く響く、テノールパート。
私の大好きな、恋を謳ったこの曲。
この曲をキミだけに聞いてほしいっ！...と、思う人はなかなか現れてくれず、”恋”という感情がイマイチよくわからない私でも大好きな、この曲。
ああ、いない。
もうどこにも、いない、いない。
「...終わったな」
「そう、だね」
「長いようであっという間の3年間、って感じ」
「案外覚えてるものだな、歌詞」
「3年間歌ってきたんだもんね、それは覚えておいてもらわないと」
「3年間、ねえ...」
宛ら花開くようには見えない桜の枝が、揺れる。
「っつーかお前らさ、記念写真取り終わった瞬間に音楽室に行くのやめてもらっていいすか」
「なんで？」
「探すのに苦労した」
「嘘つけ。大方女子に、写真一緒に撮って〜？とか言われてたんだろ」
「ご名答」
宛ら花開くようには見えない梅の枝も、揺れる。
「音楽室に入り浸れるのも今日まで...ってことか」
「好きだったんだけどな、音楽室」
「クラスのみんなともお別れだね」
「俺らはメンツは変わらないけど」
「あ、勝手に進路決めないでよね」
「どうせ一人じゃ決められないじゃん」
「決まってたもん」
「どうだか」
まだまだ冷たい春の風が吹き、セーラー服のスカーフが揺れた。
ふと気がつき、彼らとお揃いの腕時計を見る。
「...謝恩会」
「あ」
「おい、走るぞ！」
彼らと走り、音楽室から出る。...と思いきや、奇妙にも三人で同じことを思ったか、扉の直前で立ち止まる。
「「ありがとうございました！！」」
この中学とも、さよならだ。
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Noel*26(プロフ) - いちごさん» なお許可は取っていない模様（） (2020年4月1日 15時) (
レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - ド派手に身バレしとって草 と言うか身バレしてるという方が見バレな気もするｗ (2020年4月1日 11時) (レス) id: b234dff780 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - いちごさん» 39話で身バレ案件するから覚悟して欲しい（）今の涼ちゃんのほうが書きやすいんだよね笑みんな真面目ちゃんだと面白くないし（正当化） (2020年3月28日 2時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 涼ちゃんなんだかキャラずれてきてない？ｗｗまあこれも好きだし良いけどさｗあとね身バレせんでね皆危機になるからねｗｗｗ (2020年3月28日 0時) (レス) id: 9a5403874f (このIDを非表示/違反報告)
Sari(プロフ) - Noel*26さん» バグが起きるとは思わなくてコメント遅くなってごめんよ、、(でしょ？自分でも気に入ってるw) (2020年1月31日 19時) (レス) id: 656a175c77 (このIDを非表示/違反報告)
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