α indi

＿ ページ6

「でも元気そうやん。案外メンタル強いのな」



ナチュラルに私の隣にあるブランコに腰掛ける川上。

振り子の法則に従い揺れる彼を見て、「やっぱ落ち込んでられないからさぁー！」とスマイル。

彼の洞察力がいつもより鈍かったのか、私の行いの成果が出たのか。

泣いてたこととか、此方が気づいて欲しくないことな変に鋭い癖して、肝心なところで気付かない察しない。

思い起こせば昔からそうだ。



「あ、そうだ川上。明日ドーナツ奢れ」


「話の脈絡が意味不明なんやけど」


「告白の覗き見した罰」



小学生の運動会、リレーのアンカーを務めて接戦の中一位になれなかったあの日、同じクラスの体育系女子に抜かされて奪われた首位の栄光。

「帰りアイス食べよか」と珍しく気を聞かせる提案を持ちかけた川上、その後憎まれ口こそ叩いたものの、労いの言葉は一切合切なかった。

中学生の反抗期、親と罵倒混じりの喧嘩を繰り広げたあの夜、後悔とちんけなプライドを胸に電話で助けを乞ったら川上は。

「Aなら大丈夫、Aのお母さんだってきっとわかってる」と励ましてはくれたものの、私の心の傷への慰めの言葉は全くくれなかった。

肝心なところで、弱った私が欲しい言葉を見事に避けていく。

そのお陰かは知らないが、かなりメンタルは強くなった気がするが。



「……俺の方が慰謝料欲しいくらいだけど」


「嘘つけ、楽しんでた癖に」


「楽しい、というか……」



綺麗な切れ目が私を捉える。

聞こえるのは下校途中の子供の声と車が風を切る音。



「良かったって、ちょっと思った。Aが他の奴と付き合わんくて安堵した」


「そ、れって……」



そう、それを真に受けて解釈するならば、川上は私のことを意識していると。

癒しを、救済を求めていた私のハートの天秤はものの見事に揺らぎ始める。



「俺やったら、Aを泣かせるような返事しないのに」



まさか、冗談じゃないかと疑った。

そうやって私の反応を楽しんでるんでしょ。

言い返したかったが、あまりにも川上の瞳が真剣味を帯びていたから。

本気なのかな、って信じ込むしかない。



「Aは、俺じゃ嫌？」



少し落ち着いた茶色の髪。

私の心に付け入るそれは、まるでハイエナ。

そんな狡い彼に言葉で伝えられない不器用な私は、巧みなその唇を奪って伝えようか。



*



うーん……どうもオリジナリティが。

また内容についてはご指摘下さい。

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