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「どういう経緯で僕の所なんかに？」
「聡明な方だとお伺いしたの。この後お暇でしたらお昼でもいかが？」
「……えっと。良いですよ、特に予定もありませんし。駅前の洋食屋で良いですか？」
「あら、私洋食は苦手なのよ」
彼が言っていた“イラつく”の意味も今しがた理解した。
一々嘘か本当かを考えるのは案外面倒で、どうしても気が滅入ってしまうのだ。
このさっきの発言だって、何か真偽を確かめる為の手立ては何一つない。
見た目だけなら誠実感抜群な笹倉さん、ホイホイと釣られて理想を砕かれた方のダメージもさぞ大きいことだろう。
失望にも似た負の感情は、その嘲りを含んだ笑いをうけてより膨張するのだ。
僕もそれに準えて同じ道を辿るか？……答えは否だ、何せ自覚ありの変人だから。
正解を探しあぐねていると、笹倉さんからクスクスと声が漏れる。
「……嘘、私食べ物に好き嫌いはないのよ」
「そうでしたか。それは良かった」
「じゃあ帰りましょうか」
訂正の後にすぐさま偽り、硝子細工のような指がさす方向も何気に出口とは逆方向。
あまりにも依然とした態度に、此方が不安を煽られる。
会話をかわして数分、気になるというよりは引っかかる。
こんなに人を騙して、笹倉さんにメリットはあるのだろうか？
文三首席、しかも心理学部ときた。
人を振り回すことなど彼女にとったら訳無いこと、赤子の手を捻るも同然かもしれない。
能力の出所がわかったところで理由の追及には繋がらない。
「河村さんってセンスないのね」
「そうですかね？」
オレンジの照明の下、口を押さえながら小声でそう告げてくる。
自然と僕の返しは、どちらの意味でも当たり障りのないものになっていく。
向かう道中も幾度となくからかわれた、鬱になる気持ちもわからんでもない。
店に着いたとなったら、グラタンを含みながら『冷たい』と、パンケーキを頬張りながら『苦い』と溢す笹倉さん。
どこにも躊躇が感じられない。
そしてさらっと支払いを押し付けられた、抜かり無い。
「ご馳走さま、久々の外食も普通に美味しかったわよ。あと……」
硝子の枝が指に絡む、と、掌に肌以外の質感。
「またご馳走してね」含み笑いを残して、僕に質問の暇もどぎまぎする暇も与えぬほど颯爽と去っていく。
都合の良い財布係と見られているのか、もしや気アリか。
ポケットのスマートフォンに手を伸ばして、今は大人しく緑のアイコンを開くことにした。
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やまうみ。 - 山さん» ありがとうございます！許可とらなくても良いんですか...？やっちゃいますよ...？山様も、僕の作品で書きたいものがあればどうぞどうぞ(無いと思うけど) 注意書しておきます、ありがとうございます！これからも続く限りずっと応援と尊敬と敬愛を忘れません！ (2019年10月22日 10時) (
レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - やまうみ。さん» 全然大丈夫ですよ、寧ろ許可なんて貰わなくてもどんどんインスパイアして貰えば…… 注意して欲しいこと……は、そうですね。万が一読者様に『パクりなんですか？』と聞かれたら事情説明がややこしそうな気も……その作品の中で注意書きは書いた方がいいですかね？ (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - echoeighter8さん» 了解しました！他の作品も急ぎ足で書きますのでお楽しみに…… (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 「時間制限賃貸彼氏」という作品をお相手と所々を改変して書かせていただいてもよろしいでしょうか。いや、ダメだったら全然断っても良いんです！この間のは拒否権がない感じになってしまったので。良いかダメか、注意してほしいことなど教えてください！ (2019年10月22日 8時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
echoeighter8(プロフ) - 山さん» 続編書いていただけるなら全然待ちます！ (2019年10月21日 13時) (レス) id: a38f594748 (このIDを非表示/違反報告)
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