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「……手を挙げてそのマシンガンを離しなさい。降参するんだ、怪盗ダーマ」
「あらやだ。生真面目なんだから」
やっと出た言葉は脈絡も何もない、自分でも驚くほど淡々としたもので。
こうでもしないと、永遠とダーマのペースに乗せられたままになってしまう。
にじり、と距離は縮まり火花が散る。
必死な俺とは反対に、目の前の奴は余裕綽々、形勢は俺が不利。
「……何が目的で来た？」
「あら、質問がお好きなの？」
「質問に答えろ」
「……そうね、やっとだわ。やっと見つけた」
噛み合わない質疑応答。
肌を通る風は強まるばかりで、警官服の上からでも冷気が刃のようにチクチクと刺している。
月明かりの差さない屋外というのは暗いもので、つい先程まで見えていた星の瞬きは雲に遮られて届かない。
「宝石も高価な宝も、金目のものなんて私の心を微塵もかすらないの。私が望む宝は別の、もっと美しくて尊い存在」
「何が言いたいんだ？」
「ヒントは既にあるじゃないの。考えてご覧なさい」
そう言ったきり、ダーマはフェンスに凭れかかり黙ってしまった。
警戒を緩めることなく、奴の言った言葉を振り返り整理する。
まず、愉快犯というよりはちゃんとした目的があることが判明した。
それは今日見つかって、高価ではないもの。
……もし、彼女が提示した俺の情報が“そういう”理由ならば。
「気付いた？」
「……は、冗談じゃ」
「いえ、私はとんでもないものを盗もうとしていますよ＿＿」
消えたと思った、次の瞬間。
奴の右手が顔の覆面を、左手が俺の頭上の警官帽を掴む。
僅かな光の下に晒された顔は、写真で見たそれよりずっと整っていて。
目深に帽子を被った彼女は、前に出された俺の腕を引いて。
「貴方の、心です」
ラピスラズリよりも深い瞳、恍惚の笑み。
既に拳銃は宙に自然落下していて。
「……趣味の悪い」
「褒め言葉かしら？Спасибо」
そろそろ部下達が心配してやって来る頃だろうか。
そうしたらきっと、彼女も俺も身柄を確保されるだろう。
それが仕事で、目的である筈なのに。
躊躇している理由はもうはっきりしている。
「……ははっ、じゃあ盗まれてやりますよ」
フェンスの向こう、高所に目が眩むことはなく、繋がれた手からはどこか安心感が生まれてくる。
今から、この暗闇に紛れて、溶けるように飛んでいくのだ。
職も立場も関係も、何もかも放り出してみようか。
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やまうみ。 - 山さん» ありがとうございます！許可とらなくても良いんですか...？やっちゃいますよ...？山様も、僕の作品で書きたいものがあればどうぞどうぞ(無いと思うけど) 注意書しておきます、ありがとうございます！これからも続く限りずっと応援と尊敬と敬愛を忘れません！ (2019年10月22日 10時) (
レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - やまうみ。さん» 全然大丈夫ですよ、寧ろ許可なんて貰わなくてもどんどんインスパイアして貰えば…… 注意して欲しいこと……は、そうですね。万が一読者様に『パクりなんですか？』と聞かれたら事情説明がややこしそうな気も……その作品の中で注意書きは書いた方がいいですかね？ (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
山(プロフ) - echoeighter8さん» 了解しました！他の作品も急ぎ足で書きますのでお楽しみに…… (2019年10月22日 9時) (レス) id: c5ddeb2343 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 「時間制限賃貸彼氏」という作品をお相手と所々を改変して書かせていただいてもよろしいでしょうか。いや、ダメだったら全然断っても良いんです！この間のは拒否権がない感じになってしまったので。良いかダメか、注意してほしいことなど教えてください！ (2019年10月22日 8時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
echoeighter8(プロフ) - 山さん» 続編書いていただけるなら全然待ちます！ (2019年10月21日 13時) (レス) id: a38f594748 (このIDを非表示/違反報告)
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