Trial Lover 〜お気に召しました？〜１

Jealousy ページ46

醜い嫉妬が心を埋め尽くして




きっと今の私の顔は醜い




マサイを信じてるのに醜い感情に振り回される自分が嫌になる




マサイは抱き着いてくる夏希を引き離し




「俺、こう見えて一途だから他の人の事これっぽっちも考えられないんだわ。悪いけどさ」




曖昧に濁していたマサイがハッキリとそう伝え




暗にお前には全く興味がない。そう言ってるのと同じだった




夏希の周りはその言葉に諦めムードだったが




「私、マサイさんに彼女が出来るまで諦めませんから」



夏希は食い下がった




「夏希ちゃん、マサイはこうと決めたら絶対曲げないからさ。諦めて俺にしたら？」




場の空気を和ごまそうとシルクがふざける




「すみません。私マサイさん一筋なので」




バッサリとフラレたシルクに周りからは笑いが起きる



シルクのおかげで重苦しい空気はなくなったがAの心は穏やかではなかった




「ちょっとお手洗い行ってくるね」




Aはお手洗いに入り個室へ入ると座り込んだ




どうして不安が拭えないのか




マサイは俺を信じろって言ってくれたのに




タケルとの事でトラウマを負ったAの心の傷は根深いものだった




個室を出て手を洗いAは通路へと出た




通路の先の行き止まりにマサイの姿があった




Aを心配して追いかけてきたマサイ




そしてそれを追いかけてきた夏希




「いい加減にしてくれ」



聞いた事のないマサイの怒気を含んだ声が聞こえてくる




「付き合うのが無理なら１回だけでいいんです。·····抱いてくれませんか？それで諦めますから」




突然の夏希の発言にAは固まり




「意味わかんねぇ。好きでもない奴とする訳ねぇだろ」




マサイは夏希を無視してAを探しに行こうとした




「そんなにAさんが大事ですか？」




「はっ？」




「マサイさんの好きな人ってAさんですよね？見てたらわかります」




「もしそうだとして···だったら何？あんたには関係ねぇだろ」




冷たい視線を投げかけるマサイに臆さず夏希は続ける



「マサイさんならモテるのに。なんでAさんなんですか？正直釣り合ってないですよね」




A自身が一番わかっている事を他人から言われ




言葉にならない程ショックを受ける




そんな事、私が一番わかってる




Aの目には涙が溢れていた

狂った歯車→←カオスモード

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す