Trial Lover 〜お気に召しました？〜１

マサイくんは知っていた ページ40

「楽になったか？」




マサイの言葉にAは動揺している




「お前は俺の前だと弱い所見せねぇからな。俺が居たら泣けないだろ？だからここで泣き止むの待ってた。俺って優しいだろ？」




マサイはAを追いかけた後、２人の会話を聞いていた




タケルの態度に怒りが湧いていたマサイだが２人の過去の事に口を出す権利はない





タケルと離れ体育館裏へ行くAをそっと追いかけ




声を殺し震えながら泣くAをどれだけ抱きしめてあげたかったか




でもAは俺の前では泣かない





人に弱さを見せないから





俺が行けばAはきっと無理して笑うんだ





「おいで」

　


マサイは手を広げ





Aは何も言わずマサイの腕の中へと抱かれる





「友人の時は弱さを見せたくないって強がってもいいけどさ、俺達今は付き合ってるだろう？だったら彼氏には弱い所を見せてくれてもいいんじゃねぇの？２人なら痛みも早く和らぐ···そんな気がしねぇか？」



マサイの言葉に無理矢理せき止めた涙のダムは簡単に決壊して




声を上げ泣いた





「よしよし···大丈夫だ。俺が側にいる」





頭を優しく撫でてくれるマサイの手は温かくて





私を抱き締めるその腕は力強くて





Aは止め処なく流れる涙を流し続け





マサイは何も言わずただ側にいてくれた






「·····」




気持ちが落ち着き




Aは顔を上げマサイを見つめる




「弱さを見せるって悪くないだろ？」




そう笑うマサイ




「久しぶりに人前で泣いたよ···」




「過去のタケルとの出来事は変えられねぇけど、Aの今の彼氏は俺だろ？俺はAを裏切る事だけは絶対しねぇから。だからもし不安ならちゃんと話せ。どんな話でもちゃんと聞いてやるし答えてやるから」




優しく微笑むマサイにAはまた泣き出した




「俺、なんか変な事言ったか！？」




泣かせてしまいマサイは焦っている




「ほら泣くなよ〜変な事言ったなら謝るから、ごめんな」



焦るマサイが可愛くて



泣きながら笑うA




「何で今度は笑うんだよ！？」




あたふたとするマサイを抱き締める





「今のは嬉し泣きだよ。なのにマサイが慌てて謝るんだもん。その姿が可愛くてつい笑っちゃって」





「泣かせたかと思って焦ったじゃねぇか」




マサイはAの背中を撫でながらホッとしている

恋って落ちるものなんだ→←消えぬ傷跡

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す