Trial Lover 〜お気に召しました？〜１

合鍵 ページ20

「えっ···合鍵···良いの？」




Aはカードキーを見つめながら困惑する




「信用してるし。来る前にはLINEしろよ。出先で居なかったら待たせたりしちゃうし、シャワー浴びてる最中とかもあるしな。覗きたいなら構わないが」




ニヤニヤしながら笑うマサイにAは答える




「覗いて欲しいなら覗くけど？私はやるよ？」




Aならやりかねない




「いやごめん嘘。覗くのはやめろ」




「残念。行く時はLINEして家に居るの確認してからにするよ。ありがとう」




Aは嬉しそうに自分のキーケースにカードキーをしまう




ふと鞄を見るとぬいぐるみが顔を覗かせていて




「そのぬいぐるみ持ち歩いてんのか？」




マサイがプレゼントしたカワウソのぬいぐるみ




リボンがつけられ鞄に結ばれていた




「マサイの代わりだからね。寝る時は枕元に置いて寝てるし」




「今度もっとでっかいカワウソのぬいぐるみ買ってやるよ。抱き締めやすいだろうし」




「ううん、これがいい。初めてマサイから貰ったプレゼントだから」




何気なくプレゼントしたぬいぐるみに喜ぶAを見てマサイは心が温かくなるのを感じていた




「わかった。大事にしてくれてありがとな」




「大事にするに決まってるじゃん。宝物だよ」




キーケースをしまうとAは鞄を持って立ち上がる



「そろそろメンバーのみんなも来る頃じゃない？」




時計を見ながらAが話す




「あぁ。さっき連絡来たから待ってもらってる」




「いつもみたいに過ごしたいけどメンバーに勘付かれたりしたら···だしね」




今まではAも含めてみんなでマサイの家で過ごしたりもした



関係が継続するならメンバーに話すと決めてる２人はこの期間だけはそれを控える事にした





「じゃあ今日は帰るね。また明日来る時LINEするから」




玄関に向かうA




「送らなくていいのか？」




「うん、寄る所あるしタクシー拾うから」




靴を履きマサイの方へと振り返る




「おやすみのハグしてくれる？」




無邪気に笑うAをマサイは抱き締めた




「大好きだよ」



心地いいAの声に耳を傾ける



「あぁ。気を付けて帰るんだぞ。家に着いたらLINEして。心配だから」




「わかった。じゃあね」




手を振りAは玄関から出ていく




「さっきの台詞··俺、過保護なお父さんみたいだな」



マサイは苦笑いしながらリビングへと戻った

毎日毎日→←別れの理由

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す