Trial Lover 〜お気に召しました？〜１

別れの理由 ページ19

「···それで、なんで別れたの？」




Aは困ったような顔をする




「そんなに気になる？」




「彼女の事だからな」




Aは苦笑いしながら答える




「浮気されて捨てられた。それで終わり」




切なげな目になるA




「···良かったな」




「何が？」




「俺に惚れて。当たり前だけど俺は浮気しないから。こう見えてめっちゃ一途だし」





その言葉にAは吹き出す




「そうだね。あれから恋愛が怖くなって誰も好きにならなかったのに···気付いたらマサイに恋してた」




「安心しろ。俺はそんな野郎とは違うから」





「このトライアル期間も浮気しない？」





Aが不安そうにそう聞くから




その出来事がAの心に傷を残してるって馬鹿な俺でもわかった




「当たり前だろ。彼女が居るのに他の女に行くかよ。もうちょっと俺を信用しろ」




そう言うとAは嬉しそうに笑って




その笑った顔がやっぱり可愛いな。なんて思う




そのまま俺に抱き着くAの背中をずっと撫でた

　


この間も感じた感覚




この空間が幸せだなって。




この幸せな時間がずっと続けばいいのになんて思ったりする




「マサイが私に惚れてくれたら···絶対幸せにする自信あるのにな」




Aはマサイに抱き締められながらそんな事を呟く




「Aが幸せにすんのかよ。逆じゃね？」




「ふふ、確かに。おかしいかな？」




「良いんじゃね？俺達らしくて」




映画の恐怖はどこかに吹き飛んで




部屋には２人の笑い声が響く




「あのさ、俺ん家に毎日来てもいいって言ったけど、毎回来てもらうの悪いし俺がそっちに行くでもいんだけど」




お互いの家を行き来していたが付き合ってからはマサイの家のみで




「マサイが迷惑じゃなきゃマサイん家で良いよ。家に来る回数増えたらチクワが淋しい思いするから」




２人の側で寝息を立てて眠るチクワを見る




「Aが良いならそれでいいけど」




我が子のように可愛がっているチクワの事まで気にかけてくれるAの優しさがマサイには嬉しくて




「毎日来るだろうし···」




そう呟くとマサイは別の部屋へと向かい




戻ってきたマサイの手にはカードキーが握られていた




「ほら。持っといていいぞ。勝手に入ってきて構わないから」




カードキーをAに渡す

合鍵→←昔語り

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す