Trial Lover 〜お気に召しました？〜１

ちょっと待った ページ16

「ごめん·····ホラーは暗い部屋で観た方が面白いと思ったんだもん···」




心臓がまだバクバクしていて




Aはマサイの首筋に顔を埋め怖さを薄めようとした




普段より距離が近いせいなのか




首筋から香るマサイの匂いがなんだかとても安心出来て




「···マサイって···いい匂いするよね」




「そうか？自分じゃわかんねぇけど」




「「···············」」




「ねぇ、怖いなら電気点ければ？？」




「うん。そうなんだけど·····」




暗闇の中、抱き合って




互いの顔はぼんやり見える程度




冷静になりふと気付く




これ·····普通のカップルなら




チューする展開じゃん·····




そんな妄想が脳裏を過ると急に恥ずかしくなり





「あの、ちょっと離れる？くっ付き過ぎてない？」




しどろもどろな自分を隠しながらAが話すと




「俺は気にしてない」




そう言いマサイは更にAを抱き寄せる




私が気にしてるんだよ·····。





マサイに聞こえそうな位、心臓が鳴ってる




雰囲気の違うマサイに戸惑うA




マサイの手が伸びAの頬を掴む




見上げれば目が合い




少しずつ近付いてくる




マサイの唇がAの唇へと触れる寸前




Aは掌でマサイの口をガードした




「·····おい·····」




「··········」




咄嗟にガードしてしまった




まだ心の準備が出来てないから·····。





「···おい、何でガードすんだよ」




「·····すみませんでした」




眉間にシワを寄せたマサイが詰め寄る




「···だって····恥ずかしくなっちゃったんだもん·····」




しょぼんと俯くA




「俺、いま無茶苦茶緊張しながら勇気出したんだけど？」




「さーせん。本当さーせん」




謝るAに溜息を付きながらマサイは言う





「··もう一回するけど···本当に嫌なら止めろよ」





嫌な訳ないじゃん




不安なだけなんだよ




キスをしたら




期間が終わった時に




マサイが継続ではなく、友人関係を望んだ場合




今までの友人関係には２度と戻れない




そんな気がするから




一度でも触れ合ってしまったら



もう引き返せないと思うから

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