Trial Lover 〜お気に召しました？〜７

涙の音奏でる旋律を歌う ページ22

タケルと再会してから数日が経ち



ロケに出掛けたマサイを見送り



Aは自身の撮影準備をしていた




カメラをセットしいつも通りソファーに座ったA




RECボタンを押す手がふと止まり




撮影する為に用意していた物をテーブルの脇へと片付けるとAはRECボタンを押した


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その夜帰宅したマサイにAは話しかける




「マサイ、あのね見て欲しい動画があるんだけど」




ソファーに腰掛けチクワと遊ぶマサイにAはPCの画面を開いて見せる




「分かった。大丈夫、なんとなく予想はしてたから。だって奥さんの事なら誰よりも良く知ってるからな」




立ったままのAを引き寄せ口付ける


　

「駄目なんて言わねぇよ。なんたってマサイくんの心は海のように広いから」




ニヤリと笑うマサイ




「本当マサイには敵わない。最高過ぎる旦那さんだよ。また惚れ直した」




マサイに抱きつきAは動画を再生した

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「皆さんこんにちは」



レンズ越しに笑うA



「今日は...珍しく何もしません。ただ話すだけの動画です。理由は明かせませんが今日の動画はみんなと、とある人に向けた話をしようと思います」



そう言ってAは目を瞑り



少しの間の後



ゆっくりと話し始める




「みんなにはどうしても許せない....そんな人はいる？」



画面の中のAは少し憂いを帯びた表情で




「私は....過去に１人だけ」




目を伏せたAは左手の薬指に光る指輪を指でなぞり




「事情は伏せるけど、もし１つでも選択を間違えたりしていたら今...私の側にマサイは居なかった。過去にそう思える出来事があったの」




Aの脳裏にはタケルと過ごした日々




夏希とタケルにマサイとの仲を引き裂かれたあの辛い日々が呼び起こされ




「もしね、今過去の出来事で苦しんで許せない相手がいるなら...相手がどうしてそんな行動を取ったのか？それをまず考えてみて」



Aは続けて話す



「勿論許せる許せないは人それぞれだから理想論として聞いてくれれば良い」




深く息を吸い込みAは



「最近ふと思ったの。過去に苦しんでるのは自分自身だけじゃなく相手もだって。過去を悔やんで悔やんで...自分の幸せを捨てて贖い続けていた事を」

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