誰もが持つ心の傷跡 ページ4
その頃、モトキは和樹からのLINEを見ていた
Aがスタッフハウスに現れたらLINEをして欲しい
そう和樹にお願いをしていたモトキ
和樹は純から２人が喧嘩別れしそうだと聞き、仲直りのきっかけになればとモトキにLINEをした
けれどモトキの本当の目的は違っていて
鍵を手に家を出ると向かった先はAのマンション
オートロックを合鍵で開け部屋へと向かうと解錠し部屋へと入る
キッチンでは朱里が調理を続けていて玄関の開いた音には気付いていなかった
モトキはその光景を少しの間黙って見つめていた
視線を感じた朱里はその方向へと視線を移し
佇むモトキを見て言葉を失っていた
「········」
モトキは朱里を見つめ表情１つ変えずこう言った
「いつまで俺の人生に付き纏うんだ？」
「········」
裏切られた過去の記憶が次々と蘇り
「自分が助かりたいが為に人の人生をまた狂わせるのか？Aと２人···ようやく平穏に暮らしてたのに」
「···ごめんなさい。謝っても償い切れないのは分かってる····」
涙を流す朱里に
「簡単に泣くな。泣きたいのは俺の方だ···。もう···俺の人生から出てってくれ。２度と関わって欲しくないんだ。俺にもAにも。Aがどれだけ傷付いたか知ってるか？」
泣きそうな表情で朱里に問うモトキ
「Aがどれたけ泣いて苦しんで···ようやく２人一緒になれてからも、問題が起きてまた苦しんで···いつまで人を苦しめたら気が済む？全てお前が招いた事で自業自得だろ!!」
怒りを抑えようと話していたモトキだがAの受けた傷を考えると怒りが沸点に達し声を荒らげた
「Aは···お前に···朱里に裏切られて殻に閉じこもってた俺を救ってくれた。Aと会わなかったらずっと殻に閉じこもったまま生きてたと思う。今の俺には誰よりも大事な人だ」
モトキは朱里の前までゆっくりと歩き出す
目の前に立つと朱里を見下ろし
「出てってくれ。頼むから···これ以上俺の人生に関わって欲しくないんだよ···あとどれだけ俺やAを傷付けたら解放してくれるんだ？」
懇願するように尋ねるモトキ
その顔は消えない傷を背負い苦しむ様な表情で
「頼む···Aが帰ってくる前に····居なくなってくれ」
モトキはそう言って朱里に封筒を渡す
「少し纏まったお金を入れてあるから。これで後は自分でどうにかして」
そう言って朱里に押し付けるように封筒を渡すモトキ
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作者名：JADE | 作成日時：2023年2月21日 19時
