欠点さえも愛おしい ページ21
楽しい時間はあっという間で
「あと少しでお店も終わりそうだね」
結構な距離を気付かぬ内に歩いていた２人
夜市の端の方までやってきたのか先へと続く明かりは薄暗い路地を映し出し
「モトキ、そこのお店で最後に何か買ったらみんなの所に戻ろうか？」
モトキの腕に手を回し寄り添うAはそう問い掛ける
「そうだね、沢山歩いて疲れたろ？俺が買ってくるからそこで座ってて」
石段になった場所には他にも観光客が腰掛けていて
「ありがとう、じゃあお願いします」
Aはモトキの言葉に甘え腰掛けるとモトキの背中を見つめぼんやりとしていた
「お待たせ〜、見て美味しそう」
Aの隣に座り魯肉飯を頬張る
「日本でも魯肉飯ってあるけど本場は違うね〜めちゃくちゃ美味しい」
「本当だね、美味しいのは嬉しいけれど...食べ過ぎて太っちゃうよ。ねぇモトキ？私が太っても好きでいてくれる？」
クスクスと笑いながら問い掛けるAに
「当たり前でしょ。見た目で付き合ってる訳じゃないんだから。俺も最近幸せ太りなのか体重増えたけどAは変わらず愛してくれるって思ってるから全然心配してないし」
そう言って目を細めて笑うモトキにAは
「どんなモトキでも好きだよ。相変わらず掃除に関してとか口うるさいけど最近そんな所も愛おしいって感じ始めちゃってるんだから重症かもね」
掃除に関して相変わらず口うるさい魔王
四角い部屋を丸く掃く
整理整頓は出来るのに掃除の時は何故そんなズボラなのか未だにAの性格を理解出来ないモトキ
見るに見かねたモトキはAに最新型のルンバを与え
Aも掃除に関しては思う所があるのか黙ってそれを受け取り
ルンバは今日もAの部屋を綺麗にしてくれているであろう
「一緒に暮らせば俺が掃除してあげるのに。得意な方がやれば効率もいいでしょ？」
名案とでも言うようにニコニコと笑うモトキ
「そうやって私を釣ろうとしないの。...確かに掃除は苦手だけども。魅力的なお誘いではあるけども」
「得手不得手は誰にでもあるし。Aが服をポイってする俺がだらしなくて可愛いって思うように四角い部屋を丸く掃くAを俺は愛おしいと思うよ。だってそんな所も含めて好きだからね」
欠点すら愛おしいと思える程、誰かを愛する日が来るなんて
顔を真っ赤にしたAを横目にモトキは幸せそうな顔で残りの魯肉飯を頬張っていた
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作者名：JADE | 作成日時：2023年2月21日 19時
