戻った君の笑顔 ページ19
日中の撮影も無事に終わり
夜市の撮影に向かうべく一行は市内を移動していた
「その髪型とっても似合ってる」
撮影の為、台湾の人気ヘアサロンでカットをしてもらったモトキ
「髪質褒められたね。一度も染めた事ないからな」
「今度染めてまたイメチェンしてみる？でもモトキの黒髪が好きだから私としてはそのままが良いけど」
モトキの髪を撫で微笑むA
「じゃあこのままにしようかな。Aの好きな黒髪を貫くよ」
日本と違い人目を気にしなくて良い開放感からモトキはAの手を握り嬉しそうに笑った
「おーい、あんま見せつけるとダーマがキレるぞ」
前を歩くシルクが振り向きながらモトキに話しかける
「たまにはいいじゃん。好きな人と街中で手を繋ぎたいっていうささやかな願望を叶えたっていいだろ？」
そう言いながらモトキはちらりとダーマに視線を向ける
「まぁ日本じゃ無理だからな。仕方ねぇから見逃してやる。俺だってそんな毎回僻まねぇよ」
大人な発言のダーマに
「どうしたの？いつもならギャーギャー騒ぐのに...もしかして彼女でも出来た？」
目を丸くしたンダホが恐る恐るダーマに尋ねる
「んな訳ねぇだろ。まぁモトキだし。大目に見てやろうと思ってな」
モトキの過去の恋愛に何があったのかメンバーは皆、詳しくは知らない
けれど傷付いたモトキの姿をみんな見てきた
Aの隣で笑うモトキを見ればわかる
今が幸せで満ち溢れている事を
「ダーマ....大人になったなお前....よし、後でなんか奢ってやるよ」
この光景を見ていたマサイがダーマの肩に手を回した
「マサイ、男同士で気持ち悪いだろうが」
マサイの手を払い除けるダーマの顔はどこか照れくさそうで
マサイも他のメンバーもダーマの言葉の意図を分かっていた
「ほら、急ごう。夜市を存分に楽しまなきゃなんだからよ」
シルクの言葉に皆は歩を進め
「Aは何が食べたい？」
「んー、胡椒餅と鹽酥雞、香腸も食べてみたい」
Aは難しい食品名をスラスラ答え
モトキと過ごす夜市を楽しみに入念な下調べをしていたらしい
「ガッツリ調べてきたんだな。よし、美味しい物を沢山食べていっぱい思い出を残そう」
「モトキと一緒なら何を食べても美味しいもんね。沢山食べて沢山写真も撮ろうね。普通のカップルみたいな事してみたいから」
そう言ってはにかむAにモトキは笑顔で頷いた
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作者名：JADE | 作成日時：2023年2月21日 19時
