魔王は魔王 ページ17
「ねぇ·····もしかして初めて？」
快晴の中、上空を飛ぶ飛行機
雲間を抜け広大な景色を覗かせる空を窓から見つめながらモトキは隣で微動だにしないAに声を掛ける
「Aは高所恐怖症だから飛行機なんて絶対乗らないってよく言ってましたよ」
並んで座るモトキとAを見て通路中央に座る和樹が黙ったままのAの代わりに話す
「あぁ、確かに言ってたね〜。普段自分の事は全然話さないAが飛行機だけは死んでも乗らないって宣言して。前にロケで乗る事になっても私は行かないって駄々こねてましたよ」
和樹の隣で純がからかうようにケラケラと笑う
アスレチックの時に高い所が苦手っぽかったけどそんなに苦手だったのか
高所恐怖症なのに和樹の代わりに撮影して
怖がってロープから手が離せず半泣きだったAを思い出したモトキ
「A？窓側が怖いなら和樹達に代わってもらう？」
俯き未だ微動だにしないAにモトキは優しく声を掛け
「··········ダイジョウブ」
そう言って十字を切るA
「すっごいデジャヴを感じるなこの光景。·····懐かしい」
思わず微笑むモトキに
「·····手·····握ってて」
おずおずと差し出された手をモトキは優しく握り返し
「なんだよ、飛行機でいちゃつくんじゃねぇ！リア充はこれだから·····」
２人の光景を目にしたダーマは和樹の隣で悪態をつく
「仕方ないだろ？Aが怖がってるんだから」
「なら俺が安心出来るよう抱きしめてやろうか？」
そう言ってAに手を伸ばそうと近付くダーマに
「やれるもんならやってみろよ」
ニッコリと目の笑ってない笑顔でそう切り返すモトキ
「怖ぇーよ!!目が笑ってねぇし。ジョークも通じねぇのか。魔王全然丸くなってねぇじゃんかよ」
ダーマはぶつぶつと文句を言いながら手を引っ込める
「Aの事となるとモトキは怖ぇーんだからあんましからかうなよ？」
前の席のシルクが後ろを向きダーマに釘を刺す
「リア充なんてクソ喰らえだ。早く別れろ」
相変わらずキレッキレの毒舌全開で悪態をつくダーマ
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作者名：JADE | 作成日時：2023年2月21日 19時
