繋いだその手はか細く力無く ページ10
マサイはAの手を握り
「もう謝るな。···落ち着いたら家に送るから」
怖くて1人で居たくない
そして初めて繋いだこの手を離したくない
繋がれたマサイの手を握り返す
微かに震えるAを見て
「·····Aが良いなら···俺ん家に来るか?」
Aはマサイを見つめ
「だってまだ怖くて震えてんだろ?誰かと居れば気も紛れるっつーか···言っとくけど別に変な事は考えてないぞ」
弁解するマサイにAは少しだけ微笑み
「···迷惑でなければ···行っても良いですか?」
「構わない。明るくなったら家に送るから」
マサイは車を走らせ自宅へと向かった
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「シャワー使って····触られたままじゃ気持ち悪いだろ?」
「でも···着替えもないので···大丈夫です」
「服なら貸してやるから行って来い」
強引にバスルームへ放り込まれ
「サイズ合わねぇけど文句言うなよ」
マサイの部屋着を渡されたA
「ありがとうございます···」
シャワーを浴びAは幾分か落ち着きを取り戻した
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リビングへ行くとマサイはソファーを背もたれにしPCを触っていた
「シャワーありがとうございました···服も」
裾を引きずりながら歩くAにマサイは笑い
「やっぱAには大きかったな。でもそれで我慢して」
Aはソファーに上がり膝を抱えた体制で座るとマサイの背中を眺める
「···岸と連絡は取れたのか?」
マサイの質問にAは意味を探る
「連絡···してませんけど」
「···なんで?岸に連絡取れなかったら俺を呼んだんじゃねぇのか?」
危ない目に合ったのなら真っ先に彼氏の岸を呼ぶはずで
Aは質問の意図に焦りを見せた
恐怖の中、真っ先に頭に浮かんだのはマサイだった
マサイに助けを求めたAだが、普通なら彼氏を呼ぶ
連絡をしてないなんて不自然極まりなくて
気が動転していてそのまま答えた事を後悔する
「あの···パニックになってて···その···最後に通話したのがマサイさんだったから···そのままマサイさんに電話してしまって·····」
「···岸にちゃんと伝えろよ?彼氏を飛び越して俺を呼んでどうすんだよ。全く」
やっぱり迷惑だったんだな
Aは痛む胸を押さえ
「迷惑でしたよね···起こされて呼び出されて···」
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作者名:JADE | 作成日時:2023年1月16日 22時