歪んだ引き金 ページ7
「休みだから用事で出掛けてた。で、帰り道に美味そうなパン屋があったからAにと思って。たくさん買っといたぞ」
紙袋の中を覗けば大量のパン
「私をそんなに太らせたいんですか？それとも餌付け？相変わらずの暇人ですね」
「太らねぇからいいじゃん。ハムスター顔を見に来てやったのになんだその言い草は。いらねぇなら持って帰るよ」
袋に手を伸ばすマサイの腕を掴み止める
「いらないとは一言も言ってません!!」
袋を抱え死守するA
「なら食えよ。息抜きは必要だぞ」
そう言われパンを取り出し口にする
「·····美味しい」
「やっぱその顔好きだわ」
優しげな眼差しをAに向ける
「ハムスター顔で褒められてもなぁ···マサイさんも１つどうですか？」
「そうだな。俺も１個食ってこうかな」
Aと雑談をするマサイを少し離れた所から優奈が見つめ
少し悲しげな顔で２人を見つめるとその場を後にした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「終わらない···もう嫌」
デスクに突っ伏して唸る
優奈に頼んだ入力作業は１つも終わっておらず
「頼まれてません」
そう返され
対応に困り果てたAはシルクに相談すべきか悩んでいた···
でもそうすればマサイの耳にも入る事になる
マサイの元カノを責めるような事は出来たらしたくない
仕事だとしても良い気分にはならないだろうし
どうしたものか·····
連日の残業続きでAの睡眠時間は確実に削られ
マサイとの電話の途中で眠ってしまう程だった
「ここの所、残業し過ぎじゃねぇか？なんでそんなやる事あるんだよ？」
マサイに勘繰られそうになっていて
「色々あるんですよ。どうにかしますからお気になさらず」
そう言って誤魔化した
·····駄目だ
このまま寝そう
突っ伏したまま酷い睡魔に襲われる
30分·····
いや、15分でもいい
少しだけ·····
少しだけなら·····
眠気に勝てずAは意識を手放し
そのままデスクに突っ伏したままで眠りに落ちた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぼんやりとする視界にAは飛び起き
慌てて時計を見る
1:09·····噓でしょ
15分のつもりが数時間眠り続け
最悪·····終電ないじゃん
Aはコーヒーを飲みながらとりあえず落ち着こう
自分にそう言い聞かせた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
