理想と現実 ページ43
いつもの話し方になったAにマサイは少し安心した表情になり
「だな。じゃあ離すぞ?逃げるなよ?」
ゆっくりとAを離し
Aの手を繋ぎ車へと向かうマサイ
「セクハラって騒ぐなよ。逃げないように捕まえてるだけだから」
「どうせ何か言っても無駄でしょうから諦めてます」
大人しく手を繋がれ歩くAにマサイは微笑み
駐車場に着き車からティッシュを取りAへと渡す
「あんまり泣くと可愛くなくなるぞ。ちゃんと拭いとけ」
「おブスですみませんね。女の泣き顔なんてみんなこんな物ですよ。これが現実ってやつです」
涙を拭い落ち着きを見せたAに
「やっと泣き止んでくれた···本当死ぬ程焦った···大声出して悪かったよ」
「いえ···最近色々あり過ぎて···今日は余裕がなかったといいますか····私もきつい言い方で言い返してごめんなさい。本当はあんな風に思ったりしてませんから···」
Aの言葉にマサイは安心したような顔で
「分かってる···これで仲直りって事でいいか?」
「喧嘩してるつもりはなかったですけど···いいですよ。許してあげます」
「上からだな。まぁいいよ。笑ってくれてるから」
嬉しそうに笑うマサイに切なさが込み上げ胸が痛む
「·····シルクとどんな話してたかは聞かねえけど···仕事の事とか悩みとか···俺にも話してくれよ。頼りにならないから話さないんだろうけど、聞く事は出来るし」
「充分頼りになってます。ただ内容的にまずはリーダーのシルクさんに話さないといけなかった事で···いつか話しますから」
こう言えばマサイも納得するだろう
そう思い口にする
「分かった···拭き終わったか?なら送るから乗って。拒否るなら無理矢理押し込む」
「ちゃんと乗りますよ。マサイさんが安心出来るなら言う事聞きますから」
「やけに素直だな···普段からそうやって甘えてくれればいいのに」
そっと呟いた言葉はAには聞こえておらず
車に乗り込みAを自宅まで送る
「···忘れてないと思いますけど明日は会えませんからね」
「覚えてるよ。友達の結婚式に行くんだろ?」
「化けてイケメンGETしてくるんで。これで一蓮托生システムともおさらばですね」
心配をかけた分わざと明るく振る舞うA
本当はそんなつもりなんてないけど
少しでも好意を見せたら関係が変わってしまう
マサイとのこの居場所も守りたい
だから強がるんだ
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作者名:JADE | 作成日時:2023年1月16日 22時