DAMAGE ページ39
久しぶりの外ロケ日
建物内でスケジュール等の確認をしながらAは喪失感を感じていた
秋人はもういない
自分と付き合わなければ彼はまだここに居た
そう思うと罪悪感は増していき
視線を感じ顔を向ければ優奈がAを見つめていて
あの日以降お互いに仕事の事以外は何も話さなかった
話した所で何も変わらない
そう思ったから
メンバーの撮影が始まり
離れた場所で次のスケジュールの確認をしていると
「Aさん」
優奈が隣に立ち話しかけてきた
「岸くん辞めちゃいましたね」
そう言い放つ優奈に苛立ちを覚え
「そうね。あんな目にあえば誰でも辞めるでしょ」
自分達を別れさせる目的で秋人に近付いて
彼を呆気なく捨てた
秋人にも非があるのは分かっていても
「私の気持ち分かりました？関係を壊された私の気持ち」
冷たい目線を投げ掛ける優奈に
「···２人が付き合ってる時にマサイさんから電話が来て話とかはしてたけど、私から何か言った事はない。２人が別れたのは２人の問題じゃないの？私を目の敵にして気が晴れる？」
だまりこむ優奈に
「そもそも勘違いしてると思うからはっきり言うけど、マサイさんは私に好意は持ってない。もしそれで優奈ちゃんが別れを告げられたって思ってるなら大きな間違いだから」
今までの事で積もり積もった負の感情が溢れたように話す
「別れを告げられた時、マサイにAさんが好きなのか聞いたら否定しなかった。ならそう言う事じゃないんですか？良い気分ですよね。愛されて」
そう話す優奈に
「そんな訳ないって何回言えば分かる？もしそうなら今付き合ってると思わない？付き合ってないって事はそういう事でしょ？愛されてもないんだから!!」
思わず声を荒げ話す
マサイに振り向いてもらえない苛立ちから
一時でも彼女になれた優奈への嫉妬から
耐えていた気持ちが溢れたように涙が溢れ
「もうわたしを目の敵にするのは止めて。マサイさんとは何もない。岸くんと別れた事で満足出来ない？それにそんなに好きならマサイさんに言えば良いじゃない。やり直そうって。上手くいかない事を全部私のせいにしないで!!」
Aの剣幕に優奈も黙り込み
他のスタッフが２人の言い合いに気付き止めに入る
「どうしたんですか？」
「何でもない」
涙を拭うとAは建物の外へと出て行った
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作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
