Hungry Spider ページ23
慌ただしい12月が終わり
年も明け間もなくマサイとの約束の日が近付いていた
秋人との関係は続いていて
変わったのは以前よりもあまり会う事がなくなり
２日に１回
３日に１回
そんな風に会う回数は減っていき
最後に断った日から抱かれる事もなくなった
愛想尽かされたかな
向き合おうとするがお互いが違う方向を向いていて
「どうした？」
１週間ぶりに会った秋人が口を開くを
秋人の部屋でAは俯き
「···私達····別れよう」
Aの言葉に秋人は
「···なんで？あまり会わなくなったから？」
「お互いがお互いを必要としてない。そんな気がするから」
「そんな事ないよ？確かに忙しくて会う時間は減ったけど·····」
秋人はその言葉を吐き出し後ろめたい気持ちを隠す
Aに隠している事がある
秋人は溜息をつき目を瞑った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「俺で役に立ったのかな」
優奈と食事をしながら相談に乗り
「うん。聞いてくれてありがとう·····。岸くんって優しいんだね。結構モテるんじゃない？」
自分を見つめてくる優奈に少しドキッとして
「そんな事ないよ。全然」
食事を終え優奈を自宅まで送り
「岸くんが迷惑じゃなければ···また会ってくれない？」
優奈の言葉に秋人は驚き
「Aさんがいるし迷惑だとは思うけど···また会いたい」
「······いいよ」
罪悪感と共に出た言葉
Aという彼女がいる
だけど、普通なら自分と食事にすら行かないような女性からアプローチされ
魔が差した
平静を装い別れ
翌日の仕事前
Aを迎えに行き一緒の現場に行く約束をしていた
Aが車に乗り込んだ時
「····昨日誰が乗せた？」
Aの言葉に狼狽しそうになり
「···昨日友達と会って送ったけど···なんで？」
「香水の匂いがしたから」
「あぁ。友達が香水つけてたから匂いが移ったのかな。窓開けるね」
誤魔化すように窓を開け
Aはエンジェルハートの匂いに優奈を思い出し
同じ香水をつけてる人くらい、いくらでもいる
秋人と優奈が一緒に居たとは思えず
「大丈夫。気にならないから窓閉めて」
Aが特に気にしている様子はなかった
その姿を見てホッとした秋人は窓を閉め車を走らせた
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作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
