会いたい時に会えない ページ21
翌日から優奈はきちんと依頼された業務をこなすようになり
「優奈ちゃん改心したみたいだね」
秋人がAにそっと話し掛ける
メンバー達の来年度の宣材写真の撮影でスタジオに来ていた一行
「そうだね。このまま上手くやっていけるといいんだけど」
Aは優奈がここまで仕事に支障をきたした理由を考えていた
気のせいかとも思ったがまるで自分が困るのが分かっててわざとそうしていたような気がしていた
事実、他の人からの仕事はこなしていたからだ
恨まれるような覚えがあるとすればマサイが関わってる
そう考えていた
優奈と付き合ってる期間も電話で話し
仕事でも頻繁に会話していた姿を見ていただろう
もしまた同じ事があれば直接話し合おう
Aはそう考えていた
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髪のセットなどをしてもらいながらマサイは横目でAを見つめていた
岸がAの隣に立ち何かを耳打ちしている姿
そんな光景を見るだけでも嫉妬心は湧き上がり
「顔に出てるぞ」
隣のシルクがマサイに苦言する
「·····悪い。気を付けるよ」
相変わらず電話での会話は毎日していて
まるでそれが境界線のようだった
超えない一線
自分の誕生日には1度だけ超えてしまう境界線
会いたい時に会えない
会っちゃいけない
分かっているのに貪欲さは歯止めが効かず
岸が別の作業に行き
Aは進行度合いを他のスタッフと確認しながら指示を出していて
ふとマサイの視線に気付いたAが顔を向け
マサイと目が合うと微笑んだ
マサイも同じように微笑み
それだけで胸は高鳴り
撮影が始まるとマサイは気持ちを切り替え
自身の撮影が終わると自前のカメラでメンバーを撮影していく
ファインダー越しにメンバーを捉え
シャッターを切っていくマサイをAは見つめていた
夢中でシャッターを切っていくマサイの横顔に見惚れていた
スタジオの隅では優奈が秋人へ声を掛けていた
「岸くん、今ちょっと話せる?」
「どうしたの?」
「Aさんの事。岸くんの彼女なのに迷惑かけちゃって。もう仕事に支障は出さないから」
「えっと···なんで付き合ってるのを知ってるの?」
「色々目撃した人が居て噂になってるよ」
いつかはバレるとは思っていたがこんな早くに明るみに出るとは·····
岸は困ったように顔になり
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作者名:JADE | 作成日時:2023年1月16日 22時