忘れる事でしか報われないの？ ページ20
２日後、事務所へ行くと
「Aさん···」
優奈がAの所へやってきて
「すみませんでした。ご迷惑おかけして。残業してたのも知らなくて···」
シルクと話をしたのだろう
少し落ち込んだ表情を見せ謝る優奈
「こちらこそちゃんと上手く伝えられず仕事を教えられなくてごめんね。これからはお互い確認し合いながら進めていければいいかと思うから」
「はい。また色々教えてください。迷惑かけないようにしますので」
そう言いその場を去った優奈
Aの姿が見えなくなるとぽつりと呟く
「····ウザ」
マサイと別れたのはAのせいだと
その苛立ちをAにぶつけるように仕事を放棄しAに負担をかけ嘲笑っていた
シルクから釘を差され表立った事は出来なくなり
優奈は休憩室へ向かい
他のスタッフと当たり障りのない会話をしていると
「そう言えば昨日聞いたんだけど···岸くんとAさん付き合ってるっぽいよ。駐車場で２人が一緒に車に乗るの何回か目撃されてるって」
「マジ？でもそれだけで付き合ってるってなる？」
「他にも２人が仕事終わってから仲良さげに食事してるの見た人もいるから間違いないんじゃない？」
そんな会話を黙ったまま聞いていた優奈
逆恨みだと分かっていても湧いてくる苛立ちが抑えきれず
人のカップルを壊した癖に自分は彼氏と仲良くなんて
笑えるよね
優奈は休憩室を出るとスマホを出しLINEを開く
【やり直したい】
そう打ち込み送信する
これで３回目
無視すればいいのに
マサイは毎回謝りながら断ってくる
私を大切に出来なかった事を謝り
やり直せない事も傷付けないような文章で
私はいつも軽い恋愛しかしてこなかった
派手な見た目のせいなのか軽く扱うような男ばかりで
軽い女だから傷付かないとでも言うように
なら演じよう
その方が傷付かなくて済むから
そんな時、イメチェンをしたマサイを見て
軽い気持ちでアプローチした
どうせマサイも···そう思ってた
でも違ってた
マサイは見た目で判断したりせず
中身を見てくれた
そんな人は初めてだった
だから嘘を付いた
マサイが探していた一夜限りの女
なりすませば振り向いてくれるかも知れない
そんな想いだけで
嘘を付いた私をマサイは責めなかった
それが余計に辛くて
その優しさにいつまでもしがみつく
元には戻れないのに···
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作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
