君が笑うだけでただ嬉しくて ページ14
「俺さ···馬鹿だよな」
グラスを煽りマサイは投げやりに話す
「マサイが馬鹿なのはいつもの事だけどな」
ビールを飲みながらシルクが笑う
「いや、確かに馬鹿だけどそういう意味じゃなくて····アイツへの気持ちに気付かないフリしてさ···やっと確信が持てたと思ったのに···」
「時すでに遅しってやつだな。···そんなに好きなら略奪でもしろよ」
他人事のように煽るシルク
「そんな事出来る訳ねぇだろ···。それに俺はアイツの対象外だからな。彼氏にはしたくないって言われたし···なのになんで泣きながら頭を撫でるのか·····もう意味がわかんねぇよ」
お酒も相まって饒舌になる
「本人に聞けよ。俺が知る訳ねぇし」
「聞けたらこんな所で愚痴ってねぇわ！そんな簡単に聞けるかよ····今頃彼氏と居ると思うとすげぇイラつく。毎日電話してても所詮俺は彼氏じゃねぇし勝てる訳がないよな」
机に突っ伏し弱音を吐くマサイ
「···毎日電話してんの？·····彼氏持ちに？」
引き気味のシルクを気にせずマサイは話し続ける
「悪いか？アイツに彼氏が出来る前から電話でよく話してたし。最初は遠慮して連絡を断ったけど···アイツから話したいって電話が来て···情けねぇけど耐えきれなかった自分に気付いて·····それから毎日電話してる。アイツの笑ってる声が聞けるから」
声が聞きたいから
電話越しの笑い声にすら幸せを感じて
「···ンダホの言ってた事、強ち間違いじゃねぇかもな」
「何が？」
「彼氏が居るのに毎日マサイと電話するんだろ？普通彼氏に遠慮するし、気持ちがない相手の電話なら···出ないようにするとか、迷惑って言って断るだろ。なのに楽しそうに電話するって····余程軽い女なのかマサイに気持ちがあるのかの２択だろ」
マサイはシルクを見つめ
「遊び慣れてるような軽い女かどうか位、俺にも分かるわ。アイツはそういう女じゃねぇよ」
「なら残り１択じゃねぇか」
「だからそれはねぇって。優奈との話も笑って聞いてたし、優奈と別れた後は早くまた彼女出来ると良いですねって言ってたし···」
もしAが俺を好きになってくれたら
そうならどんなに幸せなのか
そんな事、ある訳ないのに
「もうグダグダ言ってねぇで今から電話しろ。で、直接聞けばいい。何で頭を撫でて泣いてたのかって」
マサイはスマホを見つめ考え込んでいた
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作者名：JADE | 作成日時：2023年1月16日 22時
