生きた証 ページ22
翌日も、その翌日も母は現れ
これ以上は事務所に迷惑だと判断したAは話し合いに応じた
「本当に迷惑なんです。今更話す事もないですし」
近くのカフェに入り向かい合い座る２人
「どうしても話したくて···迷惑かけてごめんね」
母は申し訳なさそうな顔で俯き
「用件だけ言ってもらえますか？忙しいので」
そんな母を突き放すように言葉を発する
「置いて出てった事を後悔してる····それを謝りたくて···あれからお父さんと２人で生活してたんだよね？·····お父さんは元気？」
「何にも知らないんですね。いなくなったんだから仕方ないか。お父さんは中学生の時に出て行って今も行方知れずですよ。どこにいるかも知りません」
母は言葉を失い泣き出した
「泣かれても迷惑なので。もう行っていいですか？それから事務所に迷惑なので２度と来ないで下さい」
そう言って立ち上がろうとするAに
「待って、身勝手なのは分かってるけど償いたいの···本当にごめんなさい」
涙を流す母に冷たい表情を向け
「本当に身勝手ですね。申し訳ないと思うなら２度と現れないで下さい。来られても困るだけなので」
取り付く島もないAに
「迷惑だよね····分かったよ···最後にこれだけ渡していい？」
鞄から袋を取り出し
「出ていく時に持っていったの。必要ないなら捨てても構わないから」
袋の中には古びて色褪せた母子手帳やへその緒のケース、Aの写真が沢山入っていた
「もし関係をやり直せたらその時に渡してあげたかったけど···本当に傷付けて辛い思いをさせてごめんね。もう２度と現れないから」
そう言うと母はテーブルにお金を置きその場を立ち去った
残されたAは震える手で母子手帳を開く
産まれる前からの記録がびっしりと書き込まれ
初めてつかまり立ちをした日の事
初めて歯が生えた時の事
小さな頃からの記録が母の字で書き込まれていた
写真はAが幼い頃から母が出ていく前辺りの頃までが写されていて
顔を思い出せなかった父も写真の中で笑っていた
１枚１枚写真を手に取りながらAは涙を流し
産まれたばかりの頃と思われる写真の裏には
【産まれて来てくれてありがとう】
そう母の字で書かれていた
その写真を見てAは泣き崩れ
自分が産まれた時、母に愛されていた事を知った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
JADE(プロフ) - みーさん» 変換ミスってましたー😭ご指摘ありがとうございます😭修正致しました🥰 (2023年1月21日 10時) (
レス) id: 71c576afd7 (このIDを非表示/違反報告)
みー - 明里でしたっけ…？朱里じゃありませんでした？間違えてたらごめんなさい (2023年1月21日 10時) (レス) @page19 id: 676662ed47 (このIDを非表示/違反報告)
JADE(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます😊更新頑張ります〜🥰 (2023年1月14日 17時) (レス) id: 71c576afd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - モトキの恋愛がさとうもかさんのmelt bittrって歌に合いすぎて聴きながら見てます🫶🏻更新楽しみにしてます❕頑張ってください💞 (2023年1月14日 16時) (レス) @page5 id: 8a523b4b5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JADE | 作成日時：2023年1月13日 0時
