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哀れな人 ページ6

沈黙が続く中タケルが口を開く




「言っとくけど、別れたフリしたり別れてヨリを戻しても駄目だからな?シルク達に話すのも。1つでも破ったらAがどうなるかよく考えて行動しろよ。俺としてはマサイが約束を破ったら予定通りの事を決行すればいいだけだしそっちの方が面白いんだけどな」




他人事のように話すタケル




「···わかってる。俺がちゃんと別れたらAには危害を加えない。その約束をお前等も破るな」




「約束は守りますよ。それ以上は何も望みませんから。最後に1つだけやって欲しい事はありますが」




夏希はマサイに最後の条件を出した




この後、Aに別れを告げる際に自分達と通話を繋げ、2人が別れた証明をする事を。





「···わかった」




そう言ってマサイは立ち上がり玄関を出て行く




マサイの居なくなった空間で夏希は溜息をついた




「後悔してんの?」




タケルの言葉に夏希は黙ったまま




「俺には関係ないからどうでもいいけど」




そう放ちタケルは夏希を抱き寄せる




これで良かったんだと自分に言い聞かせ




タケルにされるがまま身を任せた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「···もう好きじゃないって言ってるだろ!!帰ってくれ!!」





声を荒げるマサイにAは目に涙を浮かべながら玄関から出て行く




扉の閉まる音を聞きマサイは机の上に置いたスマホを手に取る




通話状態の画面




「····これで満足か?」




抑揚のない声で話す




「はい。···今後もマサイさんが約束を破らなければ何もしませんから」




「ちょくちょく確認はするから。欺こうなんて考えるなよ?」




2人の言葉にマサイは




「わかってる」




そう言って電話を切ったマサイ




その瞬間、糸が切れたようにその場にへたり込む




ただ2人で居たかっただけなのに




そんなささやかな望みすら願っちゃいけねぇのかな




本気でやらない。そう考えて夏希達の話を拒否する事も出来ただろう




でも、もし本気だったとしたら?




Aが傷付けられた後に後悔するのだけはしたくない



これで良かったんだと自分に言い聞かせ




愛する人を守る為に、愛する人を手放す事が最善なんだと





マサイは1人頭を抱え身を震わせた




もうAのあの笑顔が自分に向けられないこの現実を痛感しながら頬を伝う涙を拭いもせず痛みに耐えていた

罪と罰→←張り巡らされた蜘蛛の糸



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作者名:JADE | 作成日時:2022年11月7日 16時

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