Trial Lover 〜お気に召しました？〜３ (ページ31)

今日:9 hit、昨日:13 hit、合計:25,319 hit

嬉しい誤算ページ31

「心配して来てくれてありがとう。せっかく来たし何か飲んでから帰る？」

「そうしようかな。本当はこのまま泊まっていきたいけど···そろそろAをゆっくり寝かしてやりてぇしな」

ニヤリと笑うマサイにAの顔は赤くなり

毎夜マサイからの愛を一身に受けていたA

「そうね。そろそろ身体が持たないからそうしてくれるかな」

Aは苦笑いしながら答える

飲み物をマサイに出し

「そういえば·····ちょっと待ってて」

寝室へと消えていくA

何かを開けるような音が聞こえてきて

マサイはカップを手に持ち様子を窺う

「はい。これ持ってて」

Aの手にはキーホルダーのついた合鍵

「···いいのか？」

「当たり前でしょ。私もマサイの家の合鍵持ってるんだしマサイも持っててよ」

そう笑うAにマサイも嬉しそうに笑う

「彼女から合鍵もらうの初めてでちょっと嬉しい」

マサイは指先に絡めたキーホルダーについた鍵を見つめ自分のキーケースへ付けた

「じゃあ無事も確認したし帰るよ。淋しいけど」

「私も淋しいけどチクワが独りぼっちになっちゃうでしょ？」

「だな。今日はゆっくり休めよ。あと男連れ込むなよ」

マサイの言葉にAは笑い出し

「マサイも私に会えないからって女の人連れ込んでたら···別れるからね」

「バカップルの会話みてぇだな。浮気なんてする訳ないから安心しろ。Aもする訳ないってわかってるし」

２人は見つめ合い笑うとキスをした

「おやすみなさい。気を付けて帰ってね」

「あぁ。家に着いたらLINEするよ」

マサイを見送りAは別れたばかりなのに淋しさを募らせていた

一緒に暮らせたらきっと幸せだろう

でも勢いで暮らしても上手くはいかないだろう

お互いの生活環境の事もある

今はまだ早い

マサイも口では帰したくないと言いながらも同じ事を思っているだろう

いつか一緒に暮らせる日が来ればいいな

そんな未来を思い描きながらAは途中だった片付けを再開する

一息つきコーヒーを淹れテーブルに座ると電話が鳴り

「着いたぞ。全く··俺のカワウソは手がかかるよ」

後ろから玄関を閉める音とチクワの吠える声が聞こえる

「ごめんね。でも手がかかる子の方が可愛いって言うじゃない」

ポジティブに切り返すA