天女は巣立つ ページ6
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まるで揺り籠の様な、其れにしては頼り無い細腕に揺さぶられたまま、地下を抜け出した様だ。
帽子の隙間から指す日差しが目を焼く様だった。
久し振りの太陽は私には優しくない。
「日の光が懐かしいですか？」
どうやらフェーヂャは私が此の陽を懐かしく思って涙したと思ったらしい。
私は只、私の目を狙う槍の様な光の痛みに泣くしか出来なかっただけなのに。
「だいじょ、ぶです。日の光に当たるのは、初めぇ、なので」
矢張り舌が上手く回らない。
先程よりは声を出すのは上手く成ったとは思うが、舌の動きにはまだ慣れない。
元々舌なんて話す時以外用の無い器官で在るのだから発達などしていないに決まっている。
「初めて、雨天のこの柔い光でも初めてで辛くなってしまうのですね。
なんとも愛らしいことこの上ない」
何故フェーヂャはこんなにも私を褒めるのだろう。
私を褒めるべき対象だと思っているのか、
其れとも煽てて浮かれさせたいだけなのか。
「貴方の初めての空を共に仰げることを嬉しく思いますよ、」
何にせよ、今まで人として扱われず、物として商品として人間に見られて来た私にとっては、
其れは救いの言葉の他の何でも無かった。
彼が何故私を褒めるのか、
何故私を金まで払って買ったのか、
此の謎は全く分からないし、きっと判る事は無いのだろうと既に悟ったが、
其れでも彼に手を引かれ、地下から出れる事が嬉しかった。
「フェ、ヂャ。わたしのなまぇ、Aです」
「嗚呼嬉しい、やっと貴方に名を呼んで貰えた。
それに貴方から名前を聞かせて貰えるなんて」
フェーヂャは震えながら私を支えていた腕を慎重に傾け、優しく立たせた。
腰を支えられた状態から、脇を抱える様にして。
最後に手を掴んでバランスを取る様に誘導される。
其れでも私の脚には力が篭もらず、其の侭倒れそうに成った所をフェーヂャにまた支えられた。
私が自立出来ない事が分かった様で、今度は私の隣に座り込んで腰を支えてくれる。
貧弱な細腕に寄り掛かる様にして立つと、
私の頭より一回りは大きい毛皮帽子を外してくれた。
「こんな雨の日ですけれど、ようこそ地上へ。A」
雲の隙間から差し込む一筋の光。
白い様でもあり、何本何色にも分かれている様にも見えるその光を私は忘れる事は無い。
此が地上かと、今度こそ感動の涙を流したのですから。
ラッキーカラー
あずきいろ
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海猫ライアー(プロフ) - ぁ…、好きですこれ。ドストさんとゴーゴリが出てる時点で好きです。 (2017年12月26日 13時) (
レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
保護(プロフ) - ゆっこさん» 優しい言葉をありがとうございます…なるべく早く更新できるよう精進しますので！是非ともこれからも見に来てください！ (2017年12月19日 7時) (レス) id: 1e957f676c (このIDを非表示/違反報告)
謎さん - 文ストのゲームですよね？やってます！キャラが増えてくれたらいいなーとかおもってます。 (2017年12月19日 2時) (レス) id: 0fb42166ed (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - ゴーゴリさんとデートえぇなぁヽ(´ー｀*)ノゲームってアプリんことですかぃ?それやったら勿論やっとりますよ！ (2017年12月17日 20時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ - この作品大好きです！いつも五分おきくらいに更新されてないかみに来てます！寒いのでお体に気をつけて、更新応援してます頑張ってくださいね！ (2017年12月16日 11時) (レス) id: 4d7f4d57cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：保護 | 作成日時：2017年12月10日 12時
