天女は囀る ページ5
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フョードル・ドストエフスキー。
改めフェーヂャは私から見れば好意的な人間だった。
手早く私の保持者という立場に成っている人間に其相応の金を渡して、
首輪に繋がれた鎖を引く権利を与えられた。
最も私自身からすれば此の様な貧弱な人間を男が欲しがる事が不思議で、好意的というよりも奇妙だという印象だったが。
「その脚で立てますか?」
驚いた、彼は人を気遣う事も出来るらしい。
転生させられた時以来使うことの無かった声帯を震わせてやっとの事で声を出す。
「…ぁたしは、あるげま、せん、」
予想以上に声が出なかった。
敬語にしたのは私が此処に来てから習った唯一の作法の為だ。
自分の主人と成る人間には、自分に出来る事を何で在っても尽くせと習った。
其の言葉自体は前世でも変わらない、常識で在ると思ったので従うまでだ。
「矢張りそうですか。ですがその細い脚も美しいですよ。
綺麗な脚に傷がつかないようにしなければね」
張り付けた様な笑みに背筋が凍った。
好意的であるか等関係ない。
此奴は悪魔だ。悪魔は好意的で在ろうと嫌悪感を表そうと私達人間の敵で在る事に変わりはないのだから。
地面に固定されたかの様に動けなく成ってしまった私の身体を、悪魔は優しく其の細腕で包み込んだ。
脆弱な骨を薄い肉が包んだ私の身体。
腰と膝の裏を大事そうに抱えてくれた。
そして私の顔を隠すようにふわふわの毛皮帽子を被された。
大方、アジトの場所割れ防止だろう。
「さぁ、行きましょうか。迎えが来ますからね」
視界が塞がれようと、此奴が揺れている事は私の身体を支える腕の頼り無さで分かった。
迎えというのは、矢張り此奴の力の無さを埋められる剛健な人間なのだろうか。
此の貧弱な悪魔に私は救われる。
悪魔と共に在る私が救われるのかは判らないけれど、
少なくとも此処から出れる事は今の私にとっては救いで在った。
『其が救いか罰で在るかは未だ判らないってのにねェ』
ラッキーカラー
あずきいろ
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海猫ライアー(プロフ) - ぁ…、好きですこれ。ドストさんとゴーゴリが出てる時点で好きです。 (2017年12月26日 13時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
保護(プロフ) - ゆっこさん» 優しい言葉をありがとうございます…なるべく早く更新できるよう精進しますので!是非ともこれからも見に来てください! (2017年12月19日 7時) (レス) id: 1e957f676c (このIDを非表示/違反報告)
謎さん - 文ストのゲームですよね?やってます!キャラが増えてくれたらいいなーとかおもってます。 (2017年12月19日 2時) (レス) id: 0fb42166ed (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - ゴーゴリさんとデートえぇなぁヽ(´ー`*)ノゲームってアプリんことですかぃ?それやったら勿論やっとりますよ! (2017年12月17日 20時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ - この作品大好きです!いつも五分おきくらいに更新されてないかみに来てます!寒いのでお体に気をつけて、更新応援してます頑張ってくださいね! (2017年12月16日 11時) (レス) id: 4d7f4d57cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:保護 | 作成日時:2017年12月10日 12時