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42.形容できないもの ページ44

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「は〜あの女、また来たの!?しつこ!」
ウンギは舌打ちをしながら呟く。

この人だかりは、2人のせいか。なんて思うと、ズキンと胸が痛んだ。

“お似合いカップル”そんな声も聞こえた。
あの時と同じ、2か月前の宿泊研修と、同じ。

……に、なりたくない。

「ウンギ、ここ通ろ」
「……え、通れる?」
「行こ、迂回したくない」

ウンギは目を見開いてから、「アンタやるじゃん」と満足そうに私の肩を叩いた。

2人で看板を持って、人だかりへ向かっていく。
ハンビン君、気づけばいいのに。なんて少しだけ期待しながら、廊下の端を歩いた。



「……Aちゃん!」

人だかりを抜けたあたりで、誰かに呼び止められた。
それもかなり大きな声で、後ろから聞こえた。


人ごみをかけ分けて、その人はやってきた。
真っ白い服、“王子”というその言葉が似合う、そんな人。


「似合ってるね、それ」

ハンビン君は満面の笑みで私のローブを指さした。
周りの人なんて誰も目に入らない、というような。そんな顔をしていた。

ハンビン君の奥で、ソヒさんがこっちをガン見しているのが見えた。
それにたじろぎそうになる、けれど。今はその目線に負けたくない。


「ハンビン君も、似合ってる」

数か月前なら直視できなかった彼も、直視できるようになった。
今日だって一番かっこいい。今まで見た中で、一番。


ハンビン君は、照れたように笑って「今少し時間ある?」と聞いてきた。

ウンギを見ると、私から看板を取り上げて


「あと教室戻るだけだし!

んじゃあね!」

と小走りで帰っていった。帰り際、ウインクして彼は去っていった。
ウンギにはそういう所、叶わないや。



「行こ、Aちゃん」
「へ、どこに?」

ウンギを見ていた目線が、ハンビン君へと移り変わる。
いつもとは違う、センターパートの前髪も似合ってる。こっちの方が、好きかもしれない。





「……どっか!」

ハンビン君は、これ以上ないくらいの笑みで私の手首を握った。
それはもう、可愛い、綺麗とかそういう言葉では形容出来ないくらいのものだった。



「わ、ハンビン君!?」

こんな、強引だったっけ。
人だかりをハンビン君はかけ分けていく。それを、手首を引かれて連れていかれる私。

王子に連れていかれる、ホグワーツの生徒。

何とも奇妙なその二人が、廊下を楽しそうに走っていた。と言われたのはすぐの出来事だった。

43.2人の空間→←41.No,1ホスト



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ヨルの最中(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!励みになります〜☺️ (2023年4月2日 0時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 一昨日この素敵な作品を見つけてもうここまで読んでしまいました🥹❤️大好きです!!これからも素敵なお話楽しみにしてます🫶🏻 (2023年3月26日 0時) (レス) @page47 id: d903579d41 (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます‼️ 嬉しいです🥲 (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - スヨンさん» 引き続きコメントありがとうございます〜😭❕ (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - しのさん» コメントありがとうございます🥲 ジャンハオ会長、書いていて楽しいです🥲 (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨルの最中 | 作成日時:2023年3月17日 23時

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