37.目覚めの ページ39
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ジャンハオ先輩が起きたのは、それからすぐの事だった。
とりあえず目の間にある先輩の肩をトントンと叩いて、「起きてください」と連呼していたら、起きてくれた。
先輩は目を開けた時、状況が掴み込めていないようだったけれど。
「あー……」と呟いてから目をシバシバさせてようやく体が離れた。なんとも、気まずい。
「寝ちゃって、すみません」と謝ると先輩も「僕も寝てごめん」と謝っていた。
2人とも耳が赤かった。
私はそりゃ赤くなるけど、ジャンハオ先輩も赤くなっているのが少し、不思議だった。
「今、何時?」
「23時です。……どうしよう、警備の人とか見周りに来なかったんですかね」
「生徒会室は僕がいるから見周り来ないんだよ。どうする?このままここで一夜明かす?」
「なっ……!」
ジャンハオ先輩は「ブハッ」と吹き出して、ケラケラ笑っていた。
「冗談だよ。ほら、さっさと帰ろ」
「先輩、からかうのやめてください!」
「え、ヤダ。だって楽しいもん」
最悪、この男!
膝にかかっていたジャンパーをお返しして、帰る支度をした。
あの環境が集中できたのか、今日で衣装を3着も作り終えることができた。
このペースなら間に合いそうと安心する。着々と迫ってくる当日を思うと、楽しみだった。
「わんこ、疲れてるなら無理しちゃだめだよ。ほらそれあげる」
ジャンハオ先輩はそう言って、ケーキとカフェラテをくれた。
アメとムチを永遠に使い続けられている気がする。こういう所は本当アメ。
軽率に惚れてしまいそうになるからやめてほしい。ムチが無ければ完全に惚れていた、危ない。
「先輩、どうやって帰るんですか?」
「執事呼んだ。Aも家まで送ってくよ」
「……執事!?」
本当に、金持ちなんだ。
改めてリッチを見せつけられる。
この人、コンビニとか本当は初めて行ったんじゃないかとか思った。そのレベルだ。
「あ、学校着いたって。ほら行くよ」
「え、あ、はい!」
グループLINEに『今から帰ります、迎え無しで』と送ると2人から悲しそうなスタンプが送られた。
またまた、心配かけてしまった。
けど無事だからそれだけは、分かってほしい。隣に居る人も、私を嫌がらせから救ってくれた人だと、胸を張って言えるわけだから。
初めて会った時とは大違いで、私の歩くペースに合わせてくれるジャンハオ先輩。
いつのまにか隣を歩けるくらいには、私も成長してしまったみたいだ。
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ヨルの最中(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!励みになります〜☺️ (2023年4月2日 0時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 一昨日この素敵な作品を見つけてもうここまで読んでしまいました🥹❤️大好きです!!これからも素敵なお話楽しみにしてます🫶🏻 (2023年3月26日 0時) (レス) @page47 id: d903579d41 (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます‼️ 嬉しいです🥲 (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - スヨンさん» 引き続きコメントありがとうございます〜😭❕ (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - しのさん» コメントありがとうございます🥲 ジャンハオ会長、書いていて楽しいです🥲 (2023年3月25日 23時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨルの最中 | 作成日時:2023年3月17日 23時