15.一緒に帰る ページ17
.
ミナと別れた後は、そのまま学生玄関に向かう。
ミナは今日、サッカー部の見学に行くらしい。理由はイケメンを拝みたいから、とどこまでもぶっ飛んでいる子だ。
上靴を脱いで下駄箱に入れると、「あ、Aちゃん！」と爽やかな声が聞こえる。
まさか。この声は……
「……あ、ハンビン君」
「久しぶりだね」
LINEでは毎日のように話していたものの、学校ではそんなに会うことがない、ハンビン君。
たまにマシューと話しにクラスに来ることはあるけど、だからといって私と話すわけでも無くて。
久しぶりに太陽の光を直接浴びたみたいに、あの眩しさを感じる。
「眩しそうだね、どうしたの？」
「は、ハンビン君が眩しくて！」
「え？俺、何か光ついてる？」
「ついてないと思うよ」
光じゃなくて、あなたのオーラですよ。
ハンビン君はまだ意味が分かってないような顔をしていた。
「Aちゃん、今から帰るの？……一緒に、帰らない？」
「え！？」
思わずでっかい声が出た。
幸い、生徒は部活に行く人が多数なのか玄関にはほぼ誰もいなかったから、良かった。
「あ、ハンビン君。今日生徒会は無いの？」
「うん、休み。帰るの途中まででもいいから、どうかなって」
「あ……うん、私で良ければ？」
「ほんと！？」
ブン！と勢いよく尻尾が振る音が聞こえた気が……する。
いや、気のせいか。ハンビン君が犬なわけないよね、少し面影有るけど。
ハンビン君は何が嬉しいのか、ニコニコが止まらないみたいで。
「Aちゃんは、家の方向あっちだったよね」
「え、何で知ってるの？」
「え！？あー……この前、帰る時に見かけたから、かな」
「そ、そっか」
ハンビン君の少し後ろを歩く。
誰かに見られたくなくて、隣は歩けない。けどハンビン君は歩く速度をゆっくりにするから、一生進まない。
「っはは、Aちゃん歩くの遅いよ」
「ご、ごめん。もっと早く歩くね」
スタスタと足早に歩く。こうなったら、私が先に歩けばいいもんね！
と思うのもつかの間、グイッと腕を引かれて、無理やり足が止まった。
「Aちゃん、となり歩こう？」
「ヴッ！……うん」
足早作戦、大失敗！
ハンビン君、意外と図太いかもしれない！
そんな私をみて、ハンビン君はまた「ふふ」と微笑む。
何がそんな面白いのか、不思議で思わず首を傾げた。
「……あれが、ハンビンのお気に入りか」、
と、誰かに見られていたことを、この時の私はまだ知らない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 964人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨルの最中(プロフ) - ななさん» ありがとうございます！毎日の癒しと言って貰えて嬉しいです、、、 (2023年3月20日 10時) (
レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
なな - 初めまして！！ボイプラの夢小説が読みたくてこの小説に辿り着きました！毎日の癒しになってます！展開が読めなくてわくわくしています！更新楽しみにしております！！ (2023年3月17日 23時) (レス) @page50 id: 5c5df81be3 (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - スヨンさん» ありがとうございます‼️ (2023年3月17日 11時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
スヨン(プロフ) - ジャンハオ先輩の登場嬉しすぎます！！更新楽しみにしてます☺️ (2023年3月14日 1時) (レス) id: 39a7c5fd09 (このIDを非表示/違反報告)
ヨルの最中(プロフ) - はにさん» 前作に引き続きコメントありがとうございます😻 (2023年3月7日 20時) (レス) id: 3ee7ed234a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨルの最中
| 作者ホームページ：https://twitter.com/Nightmonaka
作成日時：2023年3月4日 1時
