【RKRN】オレンジ［久々知兵助］ (ページ4)

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トランペット、フルートから木琴、シンバルにトロンボーン…愉快な音が音楽室を駆け巡る。

「そこ、音出てない！！それと楽譜落ちてるよ！？誰の！？」
ハァッ、と呼吸を整えて部員に休憩を言い渡す。何かと体力のいる部活動…仕方ない。

私が演奏するチューバもとても体力入るし重いしで大変だ

窓を眺めながら飲料水を喉に通す。…その時だ。

「…？」
少し下に見える緑色の葉が生い茂った木の一部がワサワサと揺れている。

「(人影、…みたいな…)あっ！」

思わず声が漏れる。人影が地面に落下したのだ。

低いわけではないあの木から落ちた。
落ちたらなかなかの怪我じゃ…そう考えて私は無我夢中で音楽室から飛び出て、麓の楠まで私は走っていた。

そこには予想通り人がしゃがみこんでいていた。

「ちょっと大丈夫！？怪我して＿＿＿あっ、」
「ぅ……ッ、今朝の…もしかして今見てた？格好悪…」
「今朝の久々知君だよね！？どうしたの！？木登りでもして…＿あれ、…猫…？」

兵助君の腕には黒い…おびえた様子を見せる子猫が抱きかかえられていた。

……そういうことだったのか。

「…こいつ、八左ヱ門の猫なんだ。烏に襲われかけてて…」

「そうなの…って、怪我は！？肩貸してあげる！！」
一瞬きょとんとした兵助君は右手に抱えていた猫をそっと下ろす。
猫はピョンと跳ねるように素早く茂みに入っていった。

「別にそんなの良い。…ッ！！」

立とうとした兵助君は痛みからかガクッと崩れ落ちる。当然か…2、3メートル下に無防備なまま転落したのだから。

「もー、往生際が悪い！！早く肩！！怪我してるんでしょ！？」

無理矢理腕を取り、うまく歩けない兵助君からすれば半分引きずられた状態で保健室まで連れて行くことにしようと決意する。

と思ったけど、痩せ型なんだろうけど、身長もあるみたいで結構重いッ…

でも今兵助君は怪我をしているんだから行かなきゃ！！

私は足と腰の力を振り絞って進み始めた。

「…ごめん、ありがとう。」

気づけば私も兵助君も、耳がほんのり火照っていた。