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職員室に入り、こちらを見るなり相澤先生は溜息を吐いた。
「またか」
「またです」
「一応聞く、何故抱き上げられている」
「歩くのが遅いからです。」
歩くのは遅い、バランスはとりにくい。
不便でしかない。
私は小さくなった手で自分の頬を触る。
先生は気だるげに二度目の溜息を吐いた。
「お前ら呪われてんのか」
「知りませんよ」
周りの先生は奇妙なものでも見るような目で私達をチラチラと見ている。
嫌な視線ね。
敦は居心地悪そうにし、龍は睨み返した。
小さくなった手で龍の頭を叩く。
ぺち、という音がした。威力無いわねこれ。
「…」
「言いたい事わかるわね」
龍は無表情で微かに頷く。
その様子を眺めていた相澤先生はしみじみと呟いた。
「ちっこくなっても変わんねぇな」
「煩いですね」
記憶はあるんですから当たり前でしょう。
「犯人は探しとくが…一応聞く、心当たりは」
「ある訳無いでしょう。二人の時とは違う人だと思いますが。」
あの人はショタコンだったから、また違う人だと思う。
「分かった。んじゃ教室行け。清原も着いていけ」
相澤先生はヒラヒラと手を振る。
私達は失礼しました、と言ってから職員室を出た。
教室に向おうと龍が歩き出した。
が、敦は動かない。
龍が顔を顰めて振り向く。
「おい、何をしている」
敦は目を逸らして何かをブツブツと呟いた。
……あぁ、忘れてた
龍の腕の中の私は敦に向かって手を伸ばす。
「はい。交代ね」
敦はパッと顔を輝かせると慣れていない手つきで私を抱き上げた。
一方龍は何とも言えない顔である。
何よ、その顔。
敦は何で嬉しそうなわけ。
「さっさと教室行くわよ」
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作者名：Ainyami | 作成日時：2019年8月18日 11時
