［文スト］［ヒロアカ］新双黒の担当医＋ (ページ11)

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夢主と緑谷ページ11

コンコン。

保健室の扉が控えめにノックされた。

そっと開いた扉からボサボサの緑髪をした少年が顔を出す。

「失礼します…リカバリーガール、」

左手の指を庇うように右手で包み、汚れた体操服を着ているあたりヒーロー基礎学だったようだ。

緑谷は保健室をぐるりと見回し目的の人物が居ないことに気づいた。

代わりにキャスター付きの椅子に座る人物を見つけ声を漏らす。

「…あ」

その人物、Aは椅子を回し振り向く。

同い年の美人学校医者で知られるAの何処か冷たい光の宿った瞳で見つめられ、女子に免疫の無い緑谷はドキマギとする。

彼女の目が緑谷の指を捉え、眉をひそめた。

「また？」

呆れを含んだ声に緑谷は申し訳無さそうに頷く。

「はぁ…」

Aはクイ、と顎で丸椅子を指す。

座れと解釈した緑谷は着心地なく浅めに腰掛けた。

棚の戸を開き、何かをしているAの後ろ姿を見つめ、緑谷は思考に耽る。

…清原さんは、未だ十五歳なのになんで働いてるんだろう。

腕が良い正真正銘の医者だし、それ程の知識を持っている…

緑谷の脳内に、犬猿の仲の転校生組が思い浮かんだ。

…二人は、何であんなに仲が悪いのだろうか

「指、見せて」

ハッとするとAが目の前に居た。

考え事をしていたせいで気づかなかったらしい。

慌てて手を差し出す。

Aはその腕を掴み、じっくりと指を見つめる。

暫くしてAの体がぼんやりと桃色に近い紫色に光り、その光は緑谷の腕にも移った。

優しい光が指を包み、やがてふっと消える。

何度か見た光景だが、それでも興味が湧く緑谷はじっと眺めていた。

大分痛みの引いた指にAが馴れた手付きで包帯を巻く。

そこで、緑谷は何となく、聞いてみた。

「…清原さんは、敦君と芥川の仲が悪い理由知ってるの？」

Aは包帯を巻く手を止めず、目線も下げたまま答えた。

「まぁね。」

「…教えてくれる、かな、」

Aはそこで視線を上げ、緑谷を見つめた。

何でも見透かしていそうな視線を必死に見つめ返す緑谷。

Aは目を逸らし、立ち上がった。