27 ページ27
.
「Aちゃん僕とはカカオ交換してくれないの〜？」
「えっ笑」
アメリアに来て数時間、夜もふけってきた頃、ほろ酔いでご機嫌なクンヒョンが彼女に絡み始める。
ここに来るタクシーの中で今日は酔わないようにするって言ってたのに…笑
でも彼女と飲んでいると楽しくて、ついついお酒が進んでしまう気持ちもわかる。
かくいう僕も、前ほどではないけれどほろ酔いなのだ。
「僕もAちゃんの連絡先教えて欲しいな〜」
そんな事を言いながらAちゃんの手を握って可愛くお願いしているクンヒョン。
…ちょ！何さりげなく手握ってるの！！
僕のできない事をサラッとやってのけるヒョンを恨めしく見ていると、カウンターの中から行け！邪魔をするんだ！と言わんばかりのmくんと目が合う。
いつもの僕なら見ているだけだけれど…
でもどうしても、Aちゃんにはクンヒョンじゃなくて僕を好きになってもらいたい。
mくんの目配りに煽られ、クンヒョンの方に体を向けている彼女を背後から抱きしめる。
「クンヒョンだめだよ、Aちゃんに手出さないで」
僕の行動に口をポカンと開けているヒョンを横目に、握られている彼女の手を自分の方に奪い返すと彼女の体が強張ったのがわかった。
あ…これ、やらかしたかな…
彼女の表情が見えない分、余計に不安になってしまい、動けないまま思わず口をついて出た言葉は謝罪だった。
「ご、ごめん、Aちゃん…嫌だった…？」
「えっ？！あっ、違うんですただびっくりして…」
少し気まずい沈黙が流れたかと思うと、彼女は僕の腕の中を抜け出しお酒を煽ろうとする。
けれどもそのグラスの中身はもうすでに底をついていた。
「ウッ、か、空だ…mくんロイヤルサルートロックで」
「あ、はい、かしこまりました」
「ちょ、ちょっとタバコ吸ってきますね」
お酒を頼んだかと思うと、すみませんと言いながら慌ただしく席を立つAちゃん。
そんな彼女の背中を見送った後、僕はやらかしたと頭を抱える。
「い、嫌がられたって事だよねどうしよう！！」
「あんなにも動揺しているAさん、初めて見ました…」
「チャンソン…お前彼女の顔見てないからだろうけど、あれは…いや…言うのやめとくね」
「えっ！なんで！なんなのさ！」
「邪魔された仕返し笑」
意味深に言葉を紡ぐクンヒョンにヤキモキしながら僕は、彼女の喫煙所からの帰りを待つハメになるのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻樹子(プロフ) - 他も読みたいのでパスワード教えてください (2022年1月29日 17時) (
レス) id: 680a9bd736 (このIDを非表示/違反報告)
三篠(プロフ) - あやたかさん» コメントありがとうございます(;_;) チャンソンくん、かっこよさとかわいさ兼ね備えた最強くんですよね… 仕事が繁忙期で最近更新できてないのですが完結まで頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2021年12月24日 22時) (レス) id: 01d54e2d50 (このIDを非表示/違反報告)
あやたか - めっちゃいいお話です！！やっぱりチャンソンかっこいいし、可愛いですよね……！！ (2021年12月23日 7時) (レス) id: da5fb91e76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三篠 | 作成日時：2021年9月15日 15時
