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「えー、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本校は勉学はもちろんのこと、部活動にも力を入れておりましてですね、本日は……」
しばらくして校長先生の話が始まった。すぐ終わるかと思ったが、話が脱線してしまい結構長いこと喋っている。段々とうとうとしてきて、私は膝に顔を埋めて寝る体制に入った。元々部活動に入る気はないため見なくても大丈夫だろう。
「……ということでね、早速ですが部活動紹介に移らせていただきます」
校長の声が子守唄のように聞こえる。新しい環境というのは疲れるもので、最近はいくら寝ても寝足りなかった。意識が段々と遠のいていく。
あーーー、おやすみなさ……
「キャーーーーーーーッ!!!!」
「!?!?」
急な悲鳴によって意識が強制的に戻された。顔を上げて周りを見ると、頬を紅潮させた女の子たちが立ち上がって必死に手を振っている。彼女たちの視線の先−−そこには、黒いユニフォーム姿で横一列に並ぶ長身の男の子たちがいた。女子たちの声援からして、この人達が噂の男子バレー部なのだろう。
「こんにちは。男子バレー部主将、北信介です」
マイクを持った男の子−−北信介が話し始めると、黄色い悲鳴を上げていた女の子たちは自ずと静かになった。彼の口元は緩く弧を描いてはいるが、どこか他人を黙らせる圧のようなものがある。
私は話し続ける彼を隅々まで観察した。
高身長揃いのバレー部の中にいると少し低いような気もしてくるが、クラスにいたら背は確実に高い方だ。さらさらの髪に陶器のような美しい肌、少し眠たそうな目、その全てになぜか惹かれてしまう。話すときの言葉選びや語彙が富んでいる所からすると、頭も良さそうだ。
−−久々にビビッと来てしまった。
「顔良すぎんか?てか圧すごくね?北信介さんめちゃくちゃ推せるわ」
転入3日目にして、推しができてしまった。
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作者名:豆腐ハンバーグ | 作成日時:2020年4月11日 0時