誘惑ルアー ページ14
「何か、悩み事を抱えているようにお見受けしますが……」
「どっかの誰かさん達にこき使われて、ちょ〜困ってまーす」
「あはっ、契約違反したイソギンチャクがなんか言ってる〜
……お前らは文句言える身分じゃねぇんだよ。黙ってろ」
ピリ、と空気が張り詰めたような感覚がこちらにも伝わってくる。あの双子寮生は以前会った時もどことなく危険な雰囲気がして、近寄り難いタイプだ。グリムが小さく悲鳴を上げているのが聞こえた。
……勘がいいのか、私達が傍で盗み聞きしていることにも気づいたらしい。
「僕が話しかけているのはイソギンチャク達ではなく、貴方ですよ。オンボロ寮の監督生さん」
『！』
「なぁに？エビみたいにビクッと後ろに下がっちゃって。エビ……ん〜、小さいから小エビちゃんかなー」
『な、なんですか…その変なあだ名』
まぁ別にいいんだけど。以前はマジフト選手の連続負傷事件で手一杯だったけど、この2人はジェイド、フロイドという名前だそうだ
「もしかして監督生さんのお悩みは……このおバカなイソギンチャク達についてではありませんか？」
「もしかして…なんてよく言うぜ。ニヤニヤしやがって」
「何コイツ？ツンツンしててウニみたい」
「なっ……ウニじゃねぇ！オオカミだ！」
『ジャックくん落ち着きなよ』
同じく変なあだ名を付けられたジャックくんが怒っている。静かに宥めながら彼らの出方を伺っていると……ふと、こんな提案をしてきたのだ。
「もし監督生さんのお悩みの種がイソギンチャクたちについてなら……直接アズールに相談するのが1番だと思いますよ」
「…なんだと？」
「アズールはグレート･セブンの海の魔女のようにとても慈悲深いお方。きっと貴方の悩みを聞いてくれるでしょう」
「そうそう。アズールはどんな悩みも解決してくれるよ。例えば……
そこにいるイソギンチャクたちを自由にしたい、なんて願いでも」
「「「えっ！！？」」」
『……貴方達ねぇ、上手い話にすぐ飛びつかないの』
だからイソギンチャクを付けられたんでしょうが、という言葉をグッと飲み込む。
こんなの見え透いた罠だ。折角手に入れた魔法や労働力を易々と手放す訳がない。私にも何か条件を課して契約を結ばせたい、という魂胆が丸見えなのに。
……でも、アズールと直接交渉しなければ生徒を解放させる術が無い。
「……もし、この話に興味がおありなら、夜9時過ぎに『モストロ・ラウンジ』へおいでください。美味しいお茶を用意してお待ちしております」
「待ってるねぇ、小エビちゃん」
物腰柔らかい口調だが、不気味な笑みを浮かべている。てっきり仕掛けられると思ったが…こちらへ特に危害を加えることなくそのまま去っていったのだ。
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YUK - 続きをください！お願いします！ (2023年3月7日 21時) (
レス) @page10 id: fac0ef6972 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 面白いです、続き読みたいです！ (2022年8月24日 22時) (レス) id: cbd5b1c587 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - なんというか凄く1話1話の繋げ方が神です(語彙力)。無理なさらず続きを恵んで下さると嬉しいです (2022年2月27日 20時) (レス) @page9 id: c0e90f1bf3 (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - 続きをお恵みください！お願いします！ (2022年2月16日 14時) (レス) id: 590b5b1374 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 小説とても面白いです!投稿頑張ってください! (2021年10月4日 20時) (レス) @page9 id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコ＆ピーナッツ
| 作成日時：2021年6月13日 21時
