40. 引き出しの中の封筒 ページ40
そんな・・・
酷い。
常務が何も言わずにやめるなんて・・・
どこへ行ったかも分からない？
そんなことあり得ない。
力が抜けて、足元から崩れそうになるのを必死に耐えた。
辞令だから拒否はできない。
仕方なく自分のデスクの片付けを始めた。
引き出しを開けると、見覚えのない封筒が入っていた。
開けると中からカードが出てきた。
これ・・・
常務から預かったままになっているカードキーと同じ。
どうして、これが？
恐る恐る封筒の中を覗くと、紙切れが一枚入っている。
咄嗟に目を瞑った。
いやだ。
見たくない。
・・・そう思った。
信じたくないことが書いてあるに決まっている。
でも・・・
封筒の中の紙切れを取り出す手が震える。
『A・・・
出だしの一言にドキッとした。
文字を目にしただけなのに、まるで耳元で名前を呼ばれたような気がした。
その先を急いで目で追った。
『悪いな。
突然いなくなって』
その言葉を見たら、ツーと涙がこぼれた。
常務と会えなくなってから、頭の片隅にあった言葉だからだ。
常務はいなくなったのかも、と・・・
それが現実の言葉として目に飛び込んできたのだ。
『俺はお前に信じて待てと言ったのに、その約束を守れなかった。
俺は仕事の為なら女を利用してきた。
この会社を自分の物にしてから、アイツらを突き落とすつもりだった。
俺の実の父親と腹違いの兄をな・・・
その為に太田商事を買収しながら、復讐をしようと計画していた。
太田商事の娘も利用したわけだ。
だが、お前への気持ちに嘘をつけなくなってから、あの娘なんかどうでもよくなった。
女を利用してきた俺が、最後は女に復讐された。
俺としたことが、計算が甘かったようだ。
俺にはもう何もなくなった。
何一つない。
お前に待ってろという資格もない。
俺を待つな。
俺のマンションはお前が使ってくれ。
唯一、俺がお前にしてやれることだ。
家賃の心配もいらない。
もう手配はしてある。
お前は俺のたった一人の秘書で、初めて愛した女だった。
俺がいなくても、専務の元で働け。アイツは俺と違っていいヤツだ。
元気でな』
そう書いてあった。
涙が止まらなくなった。
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アイラ(プロフ) - お疲れ様でした。久しぶりなので 最初から読み返します！楽しみ＼(^o^)／ (2019年9月19日 1時) (
レス) id: 91caf3041c (このIDを非表示/違反報告)
マミン(プロフ) - またシム家の仲間たちの続編見たいなーって何年たっても思います^_^ (2018年11月27日 22時) (レス) id: 0cd15f1a61 (このIDを非表示/違反報告)
jumpana(プロフ) - えー！ ちゃみゆうさんだったのですか！（今頃 (^◇^;) ）本当に嬉しい驚きです。最近、ずっとそばに…を読み返していたところだったので、本当にびっくり。私の癒しです。今回も、本当に最高でした。 (2018年10月1日 23時) (レス) id: e8772f8a7c (このIDを非表示/違反報告)
makimaki(プロフ) - ゆうさん» またまた読み返して来ちゃいました(^^♪常務チャンミン最高だったぁ(((^-^)))再度！ありがとうございましたぁ(^O^) (2018年9月23日 23時) (レス) id: 15860040e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - makimakiさん» 楽しんでくれましたか。良かった！ありがとうございました！ (2018年9月23日 16時) (レス) id: 9fc478c7b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2018年1月9日 23時
