王女の男 −JK− 第二章

泣くほどではなく死ぬほど　(You) ページ10

王様は全てをご存知だった
その事実を誰にも話さず心に秘め今日まで生きてこられたのだ


どれだけお辛かっただろう…？


酷く胸が痛み呼吸する事すら苦しく感じられる



「王様…」


王「怖がらせてしまったか？」


「そうではございませぬ
今までお一人でその事実を抱え込みお辛かった事でしょう
お力になれず申し訳ありませんでした」


王「謝る必要などない
お前の苦しみに比べたら造作ない事だったのだからな…
この王宮に置くべきではないと考えイ尚宮と共に外の世界に放った
それがお前のためだと信じてな…
だがそばに置いて私が守ってやるべきだったのではないかと今でも毎日考えさせられる」


「王様のご判断により私は救われました
外の世界に出していただいたお陰で心穏やかに暮らせたのですから…」


王「それはジョングクのお陰なのであろう？」


「え…？」


王「外の世界でお前を守っていたイ尚宮が王宮に戻り…
それからのお前の心の支えはジョングクの存在だった…
そうなのであろう？」



全てお見通しといった様子で微笑んだ王様から目が離せない




王「その事を知りながらジョングクを公主の夫にしてしまった私を許してはくれぬであろうな…」


「王様…
その事をご存知であったにも関わらずそうなさったのですね？
あまりにも酷ではありませぬか…」



悔しくて苦しくて涙が溢れ出て止まらなくなった


だけど憎む事は出来そうにない
だって王様は私の大切なアボジなのだから…



王「そうであろうな…
翁主よ…本当にすまなかった
お前は泣くほどジョングクの事を愛しておるのだな…？」


「王様…
泣くほどではございませぬ」


王「え…？」


「死ぬほどでございます
ジョングク様が公主様の夫になると知ったあの日…
私は本気でこの世から消え去りたいと思いました
今でもその想いは変わりませぬ」


王「大切な娘に死なれては困る
翁主よ…
もうお前の好きなようにすると良い」


「え…？」


王「ジョングクの心も随分前からお前の物なのであろう？
お互いを深く愛しておるのであれば永久に離れず力を合わせて生きていくと良い」



王様はジョングクと私を交互に見て優しく微笑んだ


何故そんなに優しい眼差しを向けておられるのだろう？
まさか王様は私たちの道ならぬ恋路をお許しくださると…？

敵を欺くにはまず味方から　1　(JK)→←よそ者　(JK)

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