王女の男 −JK− 第二章

欠陥のある心　(JK) ページ17

リビングの窓を解放し月明かりが優しく降り注ぐ中3人で酒を飲んだ
月を見上げる世子様は思いつめているように見えた



A「世子様…？」


世子「オッパと呼んでくれと頼んだであろう？」


A「オッパ…？
どうかあまり思いつめないでくださいませ」


世子「Aよ…
情けないオッパですまぬな…」


A「そんな事はございませぬ
オッパは立派な世子様でございます」


世子「Aは本当に優しいのだな…
先程も私の事を助けてくれた…
…ジョングク…？」


「はい？」


世子「頼みがあるのだ
私が王となれなかった時のために心の準備をしておいてくれ…」


「心の準備とは…？」


世子「女王の夫となる心の準備だ」


「え…？」


世子「私の心には生まれた時から欠陥があるのだ
私は女性を愛せぬ…」



女性を愛せない…
つまり性同一性障害…？



世子「我慢して妻を取ったとしても子までは授かれぬであろう
だから王となるべき器ではないのだ…」


A「オッパ…
私とて女王と成り得る器ではございませぬ
次期王となるべきなのはオッパなのですよ？」


世子「もう疲れてきたのだ
中身は女子なのに世子として生きる事に…
それに王となれば今以上に苦しいであろう
自らを欺くだけでなくこの国の民をも欺き続ける事になるのだからな…」



世子様の目からは涙が溢れ出して…
その涙を拭き取ってあげたAも涙を流していた



A「オッパ…
私はどうしたら…
ジョングク…私はどうしたらいいの…？」



俺に出来る事を必死に考えた
だけど呆気なくある結論に至ったんだ



「Aが女王となるのなら女王の夫として支え続ける
でもどうしても女王になるのが嫌だと言うのなら俺が…」


A「まさかジョングクが王座に就いてくれるとでも言うの…？」


「Aと一緒に居られるのならそれも悪くないのかも知れない
安易な考えかも知れないけど…」


A「気持ちは凄く嬉しい
だけどジョングクが王になったらBTSではいられなくなる
そんな事はさせられない…」



確かにそうだろう…
だけど俺とAを今の状態に導いてくれた世子様に恩返しをしたい
苦しむ2人を救いたい



A「私たち3人とも少し冷静にならないと…
オッパも早まった決断は下しませぬよう…
どうかお願い致します」


世子「あぁ…そうするとしよう…」



月明かりの元深夜まで3人で飲み続けた


そして月を見上げてふと思った
月におられるAのオモ二はどうお考えなのだろう？…と…

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