元夫婦 −JN−【1】

＊　(You) ページ27

何も思い出せない…
どうしたらいいの…？


タイミング悪くキムさんたちが現れて…
動揺を上手く隠す事さえ出来なくて…
逃げるように教室を飛び出し無我夢中で走った


逃げてもどうにもならない…
そんな事は勿論分かっている


だけど今の私ではどうする事も出来ない
誰にも何もしてあげられない



JN「サラン先生！」



私を呼ぶキムさんの声も無視してただひたすら走って…
だけど結局直ぐに追いつかれ手首を強く掴まれてしまった


私の前に立ったキムさんは乱れた呼吸を整えながらじっと私を見た



JN「A…なんだよね？」



今にも泣き出しそうな表情のキムさんは私の胸元に隠れていたペンダントトップを引き出して…
それを見た瞬間大粒の涙をこぼしたんだ


その涙があまりにも美しくて…
キムさんの表情が切なすぎて…
胸がドクドクと強く鼓動しているのを感じる



JN「やっぱりAなんだね…」



キムさんに抱きしめられて…
その穏やかな温もりから嘘や冗談で言っているのではない事が伝わってきて…
自分の本当の名がAだったという事実を知ったんだ

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