奏 −YG− 第二章

＊　(YG) ページ48

Aはもう俺の子供が欲しいと思っているのか？


でもさすがにそれはまだ無理だ…



「ごめん…
まだAのその願いは叶えてやれない
役立たずで悪い」


A「勘違いさせてごめん！
そうじゃないの！」



俺の勘違い…？



A「スジンさんが妊娠してるみたいだったから…
赤ちゃんがスジンさんの支えになってくれればいいなって思って…」



つまりカズさんの子って事なのか？
『お二人』ってそう言う意味だったのかよ…
勘違いした俺って滅茶苦茶恥ずかしいじゃねぇか…



A「スジンさんのバッグに妊婦だよって知らせるキーホルダーがついていたの
日本ではつけている人が結構多くて…
それにスジンさんのお腹も少しだけ出ていたから…」


「そうだったのか…
キーホルダーには全く気付かなかったし気付いたとしても多分何か分からんかったと思う」


A「だよね…
勘違いさせちゃうような事言ってごめんね？」



Aは申し訳なさそうに俺を見ていて…
羞恥心で顔から火が出そうだからあまり見ないでほしいのに…



A「それでね…
私って変わり者だけどその辺の事はちゃんとわきまえてるから安心して？
これ以上の高望みはしない
私はユンギの彼女ってだけで満足」


「え…？」


A「分からない？
BTSであるユンギの邪魔をするような存在ではありたくないと思ってるって事」



Aは穏やかに微笑んでいるのに俺の胸は何故か酷く痛んで…
それはAが『男でも夫でもイエス』と言った俺を否定した意味が今になってやっと分かったからだ


俺はAに我慢をさせたまま恋人って名の甘い鎖で縛り続けるのか？
Aがいつか俺との結婚を望んでもか？
Aが俺の子供を欲しがる日が来てもか？



A「もう帰ろう？
帰ってからゆっくり話せばいいじゃん…」


「Aは本当にそれでいいのか？」


A「え？何が？」


「恋人を超える存在になれなくてもいいって本気でそう思ってるのか聞いてるんだよ！？」



Aは困ったように微かに微笑み目を伏せた



「怒鳴ってごめん
でもBTSのシュガである俺の彼女だからって我慢だけはしないでくれ
俺はAに我慢だけはさせたくない
確かに俺の立場上Aが望んだ事を直ぐには叶えてやれないかも知れん
だけど最大限の努力はする…
だからありのままの想いを俺にぶつけてほしい」



A「ミンユンギ…
カッコイイじゃん…」



顔を上げたAの目には涙が光っていた

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