奏 −YG− 第二章

＊　(YG) ページ45

「随分えげつない事をするマネだったんだな…」



A「悪の根源はユミさんか…
妙に納得した」


SN「ごめん…カズ…
本当にごめん…」



スマホを抱きしめて泣き出したスジンが何だか気の毒に思えた
勿論カズさんを助けようとしなかった事は何があっても許されない
だけど裏を返せばそれ程カズさんの事を愛していた証拠のように思えてきた俺はお人好しなのだろう



A「愛していたからこそ浮気が許せなかった…
スジンさんの気持ち…分からなくもないよ」



スジンを見つめるAの目には涙が光っていた



A「こんなに悲しい結末ってある？
誰一人として幸せにはなれなかった…
カズの家族も…カズのファンも…
勿論カズ自身も…
そしてスジンさんも…」



目を閉じたAの目から涙が溢れ出して…
スジンは声を上げて泣き続けていて…


涙を拭いたAはスジンの前に跪いてスジンの涙を拭いてあげて…
スジンは驚いた表情でAを見つめていたんだ


Aは俺には聞こえないような小声でスジンに何かを話しそれを聞いたスジンは微かに微笑んだ



SN「気付いていたの…？」


A「えぇ…
大切にしてあげてくださいね？」


スジン「ありがとう…
それと…本当にごめんなさい…
私はあなたの大切な人の命を粗末に扱ってしまった…」


A「私は大丈夫です
だってカズは私の中で生き続けていますから…
私は本当の人の死は皆に忘れられてしまった時だと思っているんです
だからどうかスジンさんもカズの事を忘れないであげてください」


スジン「何があっても忘れたりしないわ
本当にごめんなさい…」


A「スジンさんに謝らなければならないのは私の方です
あの夜私が泥酔さえしなければあんな写真を撮られる事はなかった…
あの写真さえなければスジンさんが苦しむ事もなかったんです
だからごめんなさい…」


SN「あなたのせいではないわ
ねぇ…あの写真が撮られた時何か辛い事でもあった…？」



Aは何故か俺をチラ見



A「お恥ずかしい話なんですけど…
あの頃大好きなアイドルに彼女が居るって噂になっていてそれで深酒しちゃって…」



スジンも俺をチラ見し苦笑いを浮かべた



SN「そう…
でも長い時を経て手に入れたのね…？」


A「はい」


SN「酷い事をした私が言えた事ではないんだけど…
ユンギと二人で幸せを掴んでね？」


A「私もお二人の幸せを祈っています」



お二人…？
どう言う事？

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