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「これで終わり!大村、1年間ありがとなー!」
A「わ、わ、はい、」
終業式の後、最後の最後に頼まれたお仕事が無事に終わって、
大野先生が私の手を取ってぶんぶんと振った。激しめの握手。
「1年間、お前いてくれてほんと助かったわ〜、受験生頑張れよ、」
A「うう…それはあんまり言わないでください…」
「はは!言うわ!毎日言うわ」
くすくすとひとしきり笑ってから、大野先生は優しい目をして呟いた。
「良かったわ、大村ちょっと元気になった?一時期暗ーい顔してたから心配だったんだぞ、」
A「そうですか?」
ちゃんと元気になったように見えてるなら、良かったかな。
A「もぉ、女子高生にもいろいろあるんですよ、先生、」
へらっと笑って、大野先生の肩をぽんぽん叩いた。
.
お昼の少し前に終わった終業式。
みんな足早に帰ってしまったようで、校舎はほとんど人影がない。
今日は部活もお休みだって言ってたっけ?
下駄箱を開けたら、いつもみたいに茶色のローファーが、お行儀よく並んでそこに入っていた。
未だにそれを見て、ほっとする自分がいる。
.
あの朝、ここであの子と慧くんに会って以来、
もう下駄箱に何かが入れられることはなくなっていた。
それから、あの掲示板も、
あの日の夜には、スレッドごと消されていた。
噂なんて、広まるのもあっという間なら、消えるのもあっという間で。
少しずつ、感じる視線も減って、元の通りの穏やかな日々が戻りつつあった。
.
あの日、屋上で話をして以来、結局慧くんは学校に来なかった。会えないまま、高校2年生は終わってしまった。
4月からは新しいクラスになる。
きっともうこのまま、離ればなれなんだろうな。
.
A「あれ?」
玄関を出たらすぐの階段のところに、座っている人影を見つけた。
携帯でぴこぴことゲームをしていた彼は、私の声を聞いてぱ、と顔を上げた。
増「お、終わった?お疲れ、」
A「どうしたの?」
増「どうしたって、」
言いながら彼は、携帯をポケットに入れて立ち上がった。
増「待ってたの、Aちゃんのこと」
A「え…、」
少しだけ戸惑う私を見て彼は、ふわ、と優しく笑った。
増「たまにはさ、遊びに行こーよ、2人で」
A「あ、待って、」
ほら行こ、って歩き出した背中を、慌てて追いかけた。
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ゆい(プロフ) - 通知が来て、久しぶりに読み返しました。lastがとてもきになります。どうか公開またはパスワードを教えていただけないでしょうか?? (2019年1月18日 22時) (レス) id: bc8f1d224d (このIDを非表示/違反報告)
ルナ#(プロフ) - last読みたいです。パスワード教えてください。お願いします。 (2017年3月26日 16時) (レス) id: 010ac9b730 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 最終回だけパスワードかかってるんですか?あとで外れるんですか? (2017年3月26日 15時) (レス) id: 20501953db (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - スローモーションのlastのパスワードを教えてください!!お願いします!! (2017年3月26日 15時) (レス) id: ef8cab0c4e (このIDを非表示/違反報告)
志田梨奈(プロフ) - この作品のラストですが、パスワードを教えて頂きたいです。よろしくお願いします (2017年3月26日 15時) (レス) id: ff46e8fc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年2月5日 18時