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〜♪
しぃんとした廊下に、着信音が響く。
…慧くんからだ。
A「ごめん増田くん、私……行かなくちゃ、」
きちんとありがとうも言っていないのに、その場を去ろうとした。
その時の私は、今にも千切れそうな恋の糸を繋げておくことにただ、必死で。
増「ねぇ、」
去ろうとする私の手を、増田くんが握った。
掌からじんわりと伝わる温度はいつも、あたたかい。
増「このこと、あいつは知ってるんだよね?」
A「……。」
痛いところを突かれてしまった、と思った。
増「言ってないの?」
何も言えなくて、黙って頷く。
増「どうして…!」
A「それは….、」
その先を言い淀んでいる私に、彼は続けた。
増「俺もう黙って見ていられないよ」
意志の強い瞳が真っ直ぐに私を見る。
増「今だって、俺が来てなかったらどうなってたかわかってる?」
それくらい、よくわかってる。
ついさっきの出来事を思い出して、心臓がぎゅ、っと掴まれたみたいに苦しい。
じわり、と視界が滲み始めて、握られた掌に力が入った。
増「このことちゃんとあいつに話して、なんとかしてもらった方が…」
A「いいの…」
増「え?」
反射的に話し始めたら、止めようと思ったのに、止められなくなった。
A「私が相手にしなければいいの…そうすれば大事にならないし、そのうち全部終わる…!」
言葉と一緒に涙も溢れて止められない。
A「私のせいで慧くんに迷惑がかかるのは嫌なの…!私さえ我慢すればいいことなの!」
慧「A?」
聞き慣れた大好きな声がした。
はっとして、顔を上げる。
握っていた増田くんの手を、思わずぱっと離した。
慧「どうしたの…?」
.
空はすっかりオレンジの色に染まって、西日が優しく廊下に降り注いでいた。
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ゆい(プロフ) - 通知が来て、久しぶりに読み返しました。lastがとてもきになります。どうか公開またはパスワードを教えていただけないでしょうか?? (2019年1月18日 22時) (レス) id: bc8f1d224d (このIDを非表示/違反報告)
ルナ#(プロフ) - last読みたいです。パスワード教えてください。お願いします。 (2017年3月26日 16時) (レス) id: 010ac9b730 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 最終回だけパスワードかかってるんですか?あとで外れるんですか? (2017年3月26日 15時) (レス) id: 20501953db (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - スローモーションのlastのパスワードを教えてください!!お願いします!! (2017年3月26日 15時) (レス) id: ef8cab0c4e (このIDを非表示/違反報告)
志田梨奈(プロフ) - この作品のラストですが、パスワードを教えて頂きたいです。よろしくお願いします (2017年3月26日 15時) (レス) id: ff46e8fc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年2月5日 18時