泡恋マーメイドLast・・Kei.Ryosuke・・

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慧「そっか、家で見られるのっていいね！なんだ〜今日Aちゃんち行けばよかったな」

A「え、やだよ恥ずかしい。パパとか張り切り過ぎて絶対寒いこと言うから」

慧「ふは、親父ギャグ的な？」

A「そー。っていうかおじいちゃんギャグ？精神年齢おじいちゃんだから。まだギリギリ30代なんだけどね」

慧「まじ？超若いね。薮家楽しそうでいいな」


けらけら笑いながらシートを整えた彼は、「お座りください、お姫様」とおどけて笑った。

河原の土手の一番上。すぐ後ろは通路になっていて、人がひっきりなしに動いて少しザワザワしていたけれど、花火を見るには十分に良い場所だった。

下駄を脱いでシートに座ったら、伊野尾くんのトートから缶ビールとかコンビニのお菓子とかおにぎりが次々出てきて笑ってしまった。


A「すごい！四次元ポケット？」

慧「あとこんなのもあるよ。ほら！」


最後に出てきたのは、なんだか懐かしい感じがする光るブレスレットだった。
細長いプラスチック製で、次の日の朝になるともう光らなくなっちゃうやつ。


A「わー！これ小学生の時すごい欲しかったやつ！」

慧「懐かしくない？いまフツーに100均に売ってんのね。何飲む？」



準備が良過ぎて感動してしまう。っていうか『今日のために100均でおもちゃを買う伊野尾くん』の図を思い浮かべたら愛おし過ぎてきゅんとせずにはいられない。

伊野尾くんも楽しみにしてくれていたんだな。私なんてそういう意味の用意何もしてこなかった、浴衣でいっぱいいっぱい。



缶チューハイを受け取って、薄暗くなり始めた空を見上げながら乾杯した。




A「なんかごめんね。私なにも用意して来なかった」

慧「へぇ？何でぇ？いんだよ、女の子は浴衣着たりいろいろ大変でしょ？可愛くしてきてくれるの分かってんだからこっちもはりきんないと！」



うわーー！モテる男子って本当にこういうとこだよな。優しい…優しさが全然押し付けがましくない…



慧「りんご飴の屋台あると思ったのにな〜」

A「あは、いいよいいよ」

慧「そう？やっぱこういうのって見つけた瞬間に買わないとだめだね」





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