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慧「…ありがとう、」
.
『慧くんに欠陥なんてない!!』
まさかそんな風に言ってもらえるなんて思ってもみなかったからとても驚いた。
言われて初めて気が付いた。ずっと誰かにそう言って欲しかった。
ある日突然始まった彼女との生活は、驚くほどの速さで自分に馴染んでいた。
こんなに近いところにいて、俺に何も求めてこない女の子って初めてだ。
いつだって女の子との距離が近付けば近付くほど求められることが大きくなって、
気持ちに応えようとすればするほどこじれていって、それで終わってしまうけど、
彼女との時間はそういうところからは遠く離れた居心地の良いものだった。
だからかな。何か、いろいろ話したくなった。
A「うーん…」
何かむにゃむにゃ寝言言ってるや。もう起きそうにないかな。
今までどこでどんな風に生きて、ここに辿り着いたんだろうな。
時々すごく遠くを見ている気がする。でも、無理に聞こうとは思わない。
慧「よしよし」
無邪気な寝顔が子どもみたい。いつもお姉さんぽくしゃんとしているのに、実はちょっと抜けてるとこあるよね。うっかりかわいいな、と思ってしまう。そーっと手を伸ばして、前髪の辺りをふんわり撫でた。
A「ん…」
瞬間、すっかり眠っていたはずの頬がにこりと緩んだ。どきりとして慌ててその手を引っ込める。
何やってんの俺、振られた日の夜に。やましいことないって弁解してきたばっかりなのに。こんなんだから言われるんだ、何考えてるか分かんないって。
すやすやと上下する肩にブランケットをそーっとかけて、冷蔵庫からビールを出した。もう一度彼女の向かいに座って、寝顔を見ながら缶をちびちびと傾ける。
二人きりの夜が、穏やかに更けていく。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時