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涼介「って、あれ。聞いてる?」
A「え?なんでしたっけ?」
いけない。せっかく涼介さんのお屋敷に来ているのに、ぼんやりしてしまった。
涼介「君が教えてほしいって言うから話してたんだけど。この世で一番強い妖怪の話」
A「あぁ、そうでしたそうでした」
涼介「そんなに退屈だった?」
A「違います!違うの、ごめんなさい」
涼介「あはは、そんなに謝られると逆に傷付くけど」
にこにこと私の作ったお菓子を頬張る姿は、当たり前だけどいつも通りの涼介さんだ。
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『火事のあと、その屋敷の娘の姿をとんと見かけなくなってしまってね…噂ではその時に負った火傷が原因で亡くなったとか』
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ふとおばさんの話を思い出してしまって、話題を変える。
A「あ…そういえばこのお部屋、いつも刀が飾ってあるけど」
涼介「あぁ、あれ?やってたんだよ昔。もう引退したけど」
A「そうだったんですね。私も小さい頃好きでしたよ、チャンバラごっこ」
涼介「ふふ、分かるな。好きそうな感じがするよ」
A「それ、ほめてます?」
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『それでも彼は、予定の通りにあの家を継いだのよ。すごい愛よね。とても仲が良かったそうだから、きっと今でも亡くなった娘さんを想ってるに違いないわ』
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彼に初めて会った時、なんとなく感じたんだ。
どこか寂しそうな空気を纏っている人だなぁって。
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A「昔ね、私の家の隣に小さな道場があって、よく遊びに行って剣術を教えてもらっていたんです」
涼介「へぇ、けっこう本格的だね」
A「いや、全然大したことはないんですけど」
涼介「ね、ちょっと手合わせしてくんない?」
A「え!そんなの無理!それは無理です!」
涼介「お願い、少しでいいから。久しぶりに体を動かしたくなっちゃった」
言いながら楽しそうに立ち上がるもんだから、それ以上断ることもできず。
涼介「はい、これ」
A「お手柔らかに…」
渡された竹刀を手に取り、彼の部屋に面している中庭に出た。
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いのてりーなみよ(プロフ) - 初めまして!執筆お疲れ様でした。ちゃみさんの作品が大好きで、小学生の頃から読んでいます。今回のお話も曲の世界観とぴったりで最高でした!号泣しながら何度も読み返しました…!やっと自分の携帯を手に入れ、やっとコメントができました!本当にお疲れ様でした! (2020年12月31日 21時) (レス) id: 7e384a3a2f (このIDを非表示/違反報告)
* Rin*(プロフ) - 完結おめでとうございます!もうずっと涼介は…涼介はどうなったんだ…!?と気になっていたのでスピンオフ、めっちゃ嬉しいです!気長に待ってます^^これからも頑張ってください!応援してます (2020年12月31日 17時) (レス) id: 9f5e8f6a71 (このIDを非表示/違反報告)
ふくなな(プロフ) - 初めまして、こんばんは。完結お疲れさまでした。以前からちゃみさんの書く慧くんがどのお話も大好きで、今回のお話も!いつも温かい気持ちになります。ありがとうございます。 (2020年12月31日 0時) (レス) id: 4cd974fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
みかん大好き(プロフ) - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!この小説を読んでから歌を聞くと少し切ない気持ちになりました笑この作品大好きです!トキメキをありがとうございました、 (2020年12月30日 15時) (レス) id: f21f825d8b (このIDを非表示/違反報告)
* . ° いのくま。* .(プロフ) - 完結おめでとうございます…!!!喜びと終わっちゃう悲しみできゅんと切なくなったり…。でも山田さんのスピンオフ作品で気分がぐわっと上がりました!w「はな壱もんめ」大大大好きです!これからもずっと読み返したいです…。なによりちゃみさまお疲れ様でした!! (2020年12月30日 14時) (レス) id: 8f7fc3c7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2020年9月18日 16時