はな壱もんめLast・・Kei.Ryosuke・・

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冷たくなった慧の手をきゅっと握りながら、息を飲んで神様の次の言葉を待った。





この空間は不思議
時の流れがいつもの世界と違うみたい



真っ暗で何も見えないことも手伝ってか、その沈黙がどのくらい続いているのかよく分からず、長いようにも短いようにも感じた。







しばらくして聞こえてきたのは低い笑い声だった。







___あんた、なかなか肝が据わってるね、




A「……！」




次の瞬間、目の前の空間が再び黄金色の光で包まれた。





___気に入ったよ




A「あ…！」





再び明るくなった空間で、慧の着物の襟元から覗いていた痛々しい傷から光の粒が立ち上る。

すると、みるみるうちにそれは、跡一つ残らず綺麗に彼の肌の上から消えていった。






A「これは…？、」




___あんたの命をもらって、こいつを生き返らすなんて簡単さ。でもそんなことしたら、この兄ちゃんが黙ってないだろうねぇ。
狐は嫌いだよ、妖力ばっかり強くって。怒らせたらこっちが何されるか…




何やらぶつぶつと声がする間に、黄金色に包まれたその空間がぽかぽかと、日向にいるみたいにあたたかくなってきた。






A「…？」






___目を閉じて。今からその兄ちゃんを生き返らす代わりに、そいつの『狐としての命』をもらう。





A「狐の命…？」





___その代わり、目覚めた時のその男は何の能力も持たないただのやせっぽちの兄ちゃんだよ。それでもいいかい？





A「…！それは…！もちろんです…！」




突然の展開に、思わず胸が高鳴り声が上ずる。
神様の可笑しそうな笑い声が響いた。




___あんた、物好きだねぇ





A「慧を助けてくださるんですか！？」






その問いに答えは返って来ず、慧の胸元の辺りが白く光り始めた。


その光はそのまま彼の胸元を抜け、ゆっくりと天に昇っていく。

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